BIからAIベンダーになったクリックCEOが強調した「強み」とは
「お客さまのクラウド利用はコミュニケーション基盤からDXへ広がりつつある」(日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長の牧田幸弘氏) 日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)の牧田氏は、同社が先頃発表した2024年9月期通期(2023年10月~2024年9月)の決算会見で、この1年の事業環境における象徴的な動きとして上記のように語った。具体的には、これまで同社はコミュニケーション基盤の「Microsoft 365」を中心に顧客企業のクラウド化を進めてきたが、その浸透によってここに来て多くの企業がクラウド基盤の「Microsoft Azure」(以下、Azure)を使った事業領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むようになってきたことを示した発言である。同社の事業環境の大きな変化を表す動きでもあるので、明言として取り上げた。 JBSの通期の業績は、売上高が前期比24.9%増と大きく伸び、営業利益も同9.6%増となり、好調だった。その要因は、各事業が順調に拡大した結果だとしている。決算概要は発表資料をご覧いただきたい。 JBSはMicrosoftのクラウドサービスを活用したソリューションを主にエンタープライズ(大手)企業に提供しているITサービスベンダーだ。牧田氏はこの1年の事業環境として図3を示しながら、市場概況と今後の成長に向けた取り組みについて説明した。 市況概況の1つ目に挙げた「クラウド活用、事業領域へ拡大」というのが、すなわち冒頭の発言内容である。2つ目の「生成AI開発競争」については、「生成AIが実験実証から実用の段階へ移行してきている」(牧田氏)との見方を示した。そうしたクラウドや生成AIの活用が進む中で、3つ目の「セキュリティニーズの高まり」も強く実感しているという。 また、今後の成長に向けた取り組みでは、図1に示したように5つを挙げた。中でも「採用強化」については、「これまでも人材の育成や獲得に注力してきたが、拡大する顧客ニーズに応えるためには、そのキャパシティーを確保しなければならない。とりわけ、多様な案件に対応できるプロジェクトマネージャーをもっと拡充していきたい」(牧田氏)との認識を示した。 冒頭の発言にあるように、DXへと広がるクラウド活用に対応していくことを一番に挙げているので、会見の質疑応答で「クラウド基盤として今はAzureが中心だが、大手企業ではマルチクラウドのニーズも高まっている。Azureと同様のハイパースケールなクラウド基盤にも今後対応していく考えはあるか」と聞いてみた。すると、この質問には同社 取締役専務執行役員の後藤行正氏が、次のように答えた。 「大手のお客さまのマルチクラウドニーズが高まっていることは承知しており、当社でも今後Azure以外のクラウド基盤も合わせて提案していきたい」 JBSにとってはAzureが今後も軸とはいえ、マルチクラウドへの対応は新たな取り組みとなる。どのような態勢を作っていくのか。注目したい。