「夫に言う必要なし」 ハリス氏陣営、選挙CMで女性有権者に訴え
【AFP=時事】米大統領選の投票所へやって来た夫婦。揃いの野球帽は、共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領の支持者に人気がある米国旗の柄だ。 【写真】カマラ・ハリス副大統領の選挙イベントで登壇したリズ・チェイニー氏、他
夫は妻もトランプ氏に投票すると思っている。だが、妻は民主党候補カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領に投票する。ここで俳優ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)さんのナレーション。「投票ブースの中の出来事は、ブースの中だけのこと」
妻は投票前に別の女性有権者と目くばせをする。ナレーションは「あなたは自由に投票でき、誰にも知られることはない」と語る。夫が「正しい候補に入れた?」と尋ねると、妻は「もちろん」と答える。
ハリス陣営が制作したこの30秒の選挙CMに、トランプ陣営は猛然と反発した。当のトランプ氏は「ばかげている」「妻が誰に投票するかを夫に言わないなんて想像できるか?」といきり立った。保守系テレビ局FOXニュースの司会者は、妻が夫に秘密でハリス氏に投票するのは「浮気と同じだ」と批判した。
■前例のない男女差
トランプ陣営の激しい反応は、今回の米大統領選における二つの重要な側面を表している。
一つは、米現代史上最も接戦となる大統領選で、両氏が最後の一票まで争っていること。
もう一つは、その大激戦の中で、ハリス氏が女性票を大きく頼りにしていること。今回の大統領選ではかつてない男女差が生じると予想されている。
全米ネットワーク局NBCテレビの最新の世論調査によると、ハリス氏は女性有権者からの支持で16ポイント上回っており、一方のトランプ氏は男性有権者からの支持で18ポイント上回っている。
この前例のない男女差は、2022年に米最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた判決を覆す判断を下したことと、それを受け、ハリス氏が選挙運動の前面にリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を打ち出していることが関係している。