Jリーグ新天地で躍動、G大阪移籍の28歳が森保ジャパン復帰も? 「2024年移籍組」ベスト11【コラム】
FC東京中盤の心臓になった高宇洋、恩師が率いる来季の飛躍に期待
ボランチは鈴木徳真(セレッソ大阪→ガンバ大阪)と高宇洋(アルビレックス新潟→FC東京)の2人を選んだ。鈴木は中盤の底から組み立てとバランスワークの両面を引き受けて、ダワンの幅広い攻撃参加を促すなど、観れば観るほど味のあるプレーでG大阪の上位躍進を支えた。高は個性的なアタッカーの揃うFC東京にあって、ボールを奪う能力と幅広いポジショニングで中盤の心臓に。シーズン終盤にはゲームキャプテンを担った。恩師の松橋力蔵監督が率いる来シーズンはタイトル奪取の要となれるか。 両翼はルーカス・フェルナンデス(北海道コンサドーレ札幌→セレッソ大阪)と山見大登(ガンバ大阪→東京ヴェルディ)という組み合わせに。ルーカスは新天地の右ウイングに定着して、正確なクロスなどで3得点10アシストを記録した。山見は新天地で城福浩監督の薫陶を受けて、2シャドーから鋭い仕掛けで多くの得点シーンに絡んだだけでなく、課題とされた守備面でも成長を見せて東京Vの上位躍進に大きく貢献した。 2シャドーは元日本代表の杉本健勇(ジュビロ磐田→大宮アルディージャ)と宮代大聖(川崎フロンターレ→ヴィッセル神戸)で構成した。32歳の杉本は昨シーズン途中にジュビロ磐田から横浜FMへ一時復帰していたが、一念発起して加入した大宮で、改めて攻撃センスの高さと“兄貴分”らしいリーダーシップでJ3の首位独走を引っ張った。宮代はアカデミー時代を過ごした川崎を飛び出し、神戸に完全移籍。逃げ場のない環境で、大迫勇也や武藤嘉紀と切磋琢磨しながら、4-3-3のインサイドハーフという新たなポジションで新境地を開拓。キャリアハイの11得点をマークした。 オ・セフン(清水エスパルス→FC町田ゼルビア)は圧倒的な高さとパワーを黒田剛監督の掲げる町田のスタイルで大いに発揮して、最終節まで優勝を争ったチームの攻撃を牽引し続けた。またJリーグでの活躍が認められて韓国代表に選ばれると、苦戦を強いられたワールドカップ(W杯)最終予選で、救世主的な存在に。1年半後の北中米W杯に向けて、Jリーグ代表としてもさらなる飛躍に期待したい。 [著者プロフィール] 河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。
河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji