重さとバッテリー容量で苦戦の連続も開拓することに意義がある! アウトランダーPHEVでラリー北海道に挑む猛者がいた!!
::ラリー北海道に初のPHEVマシンとしてアウトランダーPHEVが参戦 全日本ラリー選手権・第7戦「ラリー北海道」が9月6~8日、北海道帯広市を舞台に開催。同ラリーはXCRスプリントカップ北海道の第4戦も併催されていたことから、トヨタ・ハイラックスやスズキ・ジムニーといったクロスカントリーラリーの定番車両に加えて、マツダCX-5や三菱トライトンなどが参戦。多彩な車種バリエーションで話題を集めていたが、そのなかで唯一のハイブリッドモデルとして注目を集めていたのが、三菱アウトランダーPHEVだといえるだろう。 【写真】北の大地をPHEVが爆走! ラリー北海道に出場したアウトランダーPHEVの様子(全15枚) ラリー北海道にはHASEPRO RACINGの長谷川智秀選手/厚地保幸選手が114号車「ハセプロトーヨータイヤGNアウトランダー」を投入。同マシンがデビューしたのは、2023年のラリー北海道で、1年ぶりにラリーシーンに復帰したのである。 同マシンは文字どおり、三菱アウトランダーPHEVをベースに開発されたマシンで、ロールゲージやダンパー&スプリング、ブレーキパッド、シート、アンダーガード、ホイール&タイヤを除けば、ほぼノーマルに近い仕上がりだ。 三菱アウトランダーPHEVでラリーに参戦することになった理由について、オーナードライバーでもある長谷川選手は「もともとスーパー耐久やラリー北海道にランサーで参戦していたこともあって、当社のお客さんは三菱ユーザーが多いんですよね」と語る。 「三菱の現行SUVで、XCRスプリントカップ北海道に参戦する場合、エクリプスクロスのほうが車両重量は軽いので、競技車両として開発するのは簡単なんですけど、アウトランダーPHEVのほうがユーザーは多いですし、GN型では世界初になるので先駆者として挑戦したかった」と説明してくれた。
重い車両重量と限られたバッテリー容量に悪戦苦闘
その一方で、前例のないマシンとなるだけにドライビング面での苦労も多く、「車両重量が重いので登りのステージはなかなか前に進まないんですよね。それにロングステージではバッテリーがオーバーヒートしてセーブモードに入ってしまうのでトラクションがかからない。チャージモードにして、回生を利かせながら走っているんですけど、それでもロングステージではバッテリーがなくなってしまいます。昨年もステージ上でオーバーテイクされまくって泣きそうになりました」と長谷川選手。 それでも「今年もロングステージがあるので、無理をせずに抑えて走ろうと思っています。ストレスは多いと思うけれど、そのほうが速いかもしれません」とのことだ。 こうして114号車「ハセプロトーヨータイヤGNアウトランダー」で参戦2戦目を迎えた長谷川選手/厚地選手だったが、ペースは上がらず、終始、XC-2クラスで6~7番手タイムあたりを走行。「ショートステージでも、チャージモードにして走らないとバッテリーがなくなるんですけど、1年ぶりに乗ったので忘れてしまって……。途中でバッテリーが切れてまったくパワーがない状態になりまして、5台ぐらいにラップされました。長いことラリーをやってきたけれど、ちょっと心が折れかけてリタイヤしようと思いました。あとは車両重量が2トンを超えているので、ブレーキも厳しくて、ダウンヒルではフェードしていました」と長谷川選手。 それでも114号車「ハセプロトーヨータイヤGNアウトランダー」はXC-2クラスの7番手で7日のレグ1をフィニッシュした。 翌8日のレグ2でも長谷川選手/厚地選手の114号車「ハセプロトーヨータイヤGNアウトランダー」はSS9で6番手タイム、SS10で8番手タイムと苦戦の展開。それでもSS11では5番手タイムをマークするなどペースアップを果たし、XC-2クラスの7位でフィニッシュした。 このように、いち早く三菱アウトランダーPHEVをラリー競技に投入しながらも、ニューマシンゆえの苦労を重ねてきた長谷川選手/厚地選手だが、「噂ではアウトランダーPHEVが近々マイナーチェンジを迎えるようなので、バッテリーを含めてよくなっているようなら、次期モデルで競技車両を開発してラリー北海道にチャレンジしたい。バッテリーの問題がクリアしていれば、アジアのクロスカントリーラリーにも挑戦したい」と長谷川選手は意気込みを見せているだけに今後の動向に注目したい。
廣本 泉
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