スタメンを外れ多くを語らなかった本田の胸の内と今後の居場所とは?
迎えたサウジアラビア戦は、ハリルジャパンにとっても正念場だった。勝ち点3差の3位で追う日本が勝てば大混戦のまま折り返すことができるが、負ければ4位に転落するおそれもあった。ロシアへ通じる道に深い霧が立ち込め、自身の進退問題にも発展しかねない崖っぷちで、指揮官は躊躇なく「本田外し」というメスを入れた。本田が口にしていた説明は、ハリルホジッチ監督の短い言葉を聞くだけで十分だろう。 「クラブで先発を取り続けなさい。そして、先発を取れるクラブに行きなさい」 サウジアラビア戦ではリオデジャネイロ五輪世代の22歳、久保裕也(ヤングボーイズ)が右ウイングの先発に抜擢された。その久保がひざを痛めたことで、後半開始から投入された本田は惜しいシュートを放ち、左サイドにポジションを取った35分には盟友のDF長友佑都(インテル)と絶妙のパスを交換して、原口のゴールの起点にもなった。 守備でも献身的に体を張るなど、決して悪くはないパフォーマンスも見せた。しかし、所属クラブで常時出場しているかどうかが明確な基準として描かれたいま、復活へ向けて本田が選ぶべき道はひとつしかない。ミランにおける現状を考えれば、それは移籍となる。実際、本田はこんな言葉も残している。 「誤解してほしくないのは、別にミランにしがみついているわけでないということ。願った移籍がかなわなかったからミランにいる状況であり、なおかつ試合に出られていないという話なので」 次の代表戦は敵地で行われる来年3月23日のUAE戦まで空く。その間、来年早々に幕を開ける移籍市場で、プロ人生で通算5チーム目のユニフォームに袖を通せるかどうか。個人的な希望よりも出場機会を優先させる決断を下さない限り、本田はますます負のスパイラルに陥っていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)