スタメンを外れ多くを語らなかった本田の胸の内と今後の居場所とは?
オマーン戦から一夜明けた12日の練習後。前夜のハリルホジッチ監督の「リズムが足りない」とする発言を伝え聞くと、公然と持論を展開し始めた。 「(先発から)外すという選択をするというのは、いろいろな意味があると思うので。その意味を監督が説明できる必要があるし、自分自身も納得できるものがあれば受け入れる必要はある。(自分の手応えと監督の評価の)ギャップは感じていますし、(監督からの)批判もありがたいことだと感じてもいる。それを見返したいという気持ちがなくなってしまえば、サッカーをやめるべきなので。ただ、自分が強がって発言するだけではなく、いまは『本田はパフォーマンスを上げてきた』とか『再び本調子に戻してきた』と言われなければいけないと思っているので」 選手選考はあくまでも監督の専権事項としながら、サウジアラビア戦へ向けて「先発で出る準備をしていく」と強調した。これまでの本田を支えてきた反骨心や強烈なプライド、自分自身に対する自信が凝縮された発言だったが、今シーズンにおけるミランでの軌跡を振り返れば、取り巻く状況は極めて厳しい。 ここまで出場わずか3試合。トータルのプレー時間が81分と、1試合分にも満たない状況は、就任1年目のヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の構想から、完全に外れていることを如実に物語っている。 本田とミランの契約は来年6月末で切れる。本当に必要とされる戦力であれば、ミランと代理人との間で契約延長へ向けた交渉が始まっていてもおかしくないが、ミラン側に具体的な動きはない。むしろ今夏には放出要員となりながら、ミラン側が設定した1000万ユーロ(約11億6000万円)の違約金がネックとなり、何よりも本田自身がヨーロッパの主要リーグでのプレーを希望したこともあって、本格的な交渉に至らなかった経緯がある。 オマーン戦の翌日にはミランにおける自らの立ち位置について、「時代が終わった流れがあると感じる」という言葉とともに、実質的な“飼い殺し”状態となっていることを認めてもいる。 「2年半やってきて、自分のなかでは成果を残せなかった。カカやバロテッリをはじめとする名選手たちが、困難な時代を何とか変えようと一丸になってやってきたけど、誰しもが乗り越えられなかったなかで俺もその一人だということ。その結果として完全に若返るチーム編成になった段階で、俺が外されるのはすごく理解ができる」 所属クラブで出場機会を失えば、実戦に必要なゲーム勘やゲーム体力といったものも必然的に失われる。アジア最終予選が幕を開けた9月こそ濃密な経験を生かしてチームに貢献した本田だが、時間の経過とともに試合の後半に入ると明らかに運動量が激減し、ボールロストやピッチに転がされるシーンも目立つようになった。