小室等

【ノマドの窓～渡る世間はネタばかり～】 「小室等とは何者だったのか？！」 このフレーズが僕のまわりで頻繁に聞かれるようになったのは春先のことだった。 小室等とは、フォーク創世期（1960年代前半）から今日に至るまで、多くのミュージシャンに影響を与え、日本の音楽界を牽引して来た重要人物の一人である。アメリカンフォークをわが国に紹介したPPMフォロワーズとしての活動から始まり、「六文銭」を結成。作曲を手がけた「出発の歌」は第2回世界歌謡祭で上條恒彦が歌ってグランプリを受賞した。 フォーク・ミュージシャンとしての活動と並行して、唐十郎率いる状況劇場の音楽をはじめ、映画やテレビの劇伴も数多く手がけてきた。1975年に吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげると共に、フォーライフレコードを設立したことは当時の大きな話題になった。それ以降も、自らのアルバムを着実にリリースしながら、文化人たちとの交流から生まれたイベントを開催し続けている。 と、その軌跡を一気に書いたが、話を冒頭に戻そう。 僕は小室等さんの娘でやはりミュージシャン（現在の六文銭のメンバーでもある）のこむろゆいさんとお付き合いがあり、その関係で小室等さんとも面識があった。 で、春先のこと、同い年の仕事仲間Tさんが「僕、初めて見たコンサートが六文銭なんですよ。原点だね」と口にしたことからすべてがすごいスピードで動きはじめたのだった。 「小室さん、今、80歳。とてもお元気で、現役バリバリ。精力的に全国を飛び回っておられますね」「たくさんのミュージシャンがリスペクトしてますよね」「何かやりますか？」「やろうよ」 実際にそんな感じで、数日後にはコンサートのタイトルが決定した。僕が仮題として企画書に綴ったのだが、もうその時「これしかないな」という自信があった。。 ＜小室等de音楽祭＞と書いて「コムロ・デ・フェスティバル」と読む。副題は「小室等とは何者だったのか？！」である。 小室等に影響を受けリスペクトする一流ミュージシャンたちから「喜んで参加！」という快諾が届き始めるのに時間はかからなかった。そうそうたる顔ぶれによる歌と演奏、もちろんここだけでしか聴けないコラボもたっぷりと。そして何より「何者か」を語る時間もふんだんに。その進行は、THE　ALFEEの坂崎幸之助だ。実は、無名だった彼らの才能を見いだしたのは小室等なのだ！