サンタクロース姿で児童にお菓子配る→「不審者」扱い…「善意」でも法的問題あるの?
サンタクロース姿の若い男性が、子どもたちにお菓子を配っている――。 そんな不審者情報が和歌山県警から発信されました。配信サービス「日本不審者情報センター」によると、和歌山県湯浅町で12月17日午後4時ごろ、若い男性による「菓子譲渡」があったとのことです。近くには小学校などがあります。 ■【話題を呼んだポスト】「サンタクロース姿で、子どもらに菓子を配った。」 読売新聞によると、男性は「善意」で配っていたことがわかりました。 この騒動に対して、Xでは「今時、警戒せざるをえない」「サンタクロースも不審者として通報される時代」といった声が寄せられました。 サンタクロースには辛い社会になりつつありますが、路上などで飲食物を配る行為には、どのような法的リスクがあるのでしょうか。
●配布は法的には違法とはいえない
お菓子を受け取らない人を追いかけてしつこく渡そうとしたり、道をふさいだりすれば、軽犯罪法のつきまとい(1条28号、拘留(30日未満)または科料(1万円未満))などにあたる可能性はありますが、街頭でお菓子を無償で配る行為は、それ自体は違法といえないと思われます。 本当に「善意」で、たとえば子どもたちの笑顔が見たい、という理由で自腹で購入したお菓子を配布している方もいらっしゃるでしょう。災害のあった場所で、無償で食べ物を配布している方もいらっしゃるでしょう。 そういったものを危険だとか違法だとかいうのはあまりにも悲しいことです。 しかし、そういった賞賛される活動と、外見上はまったく区別できない危険な活動があることには、注意が必要です。
●食べ物の安全性や信頼性に問題
配布されている食べ物が安全なものかどうかの区別は困難です。 一方で、昨年11月には東京都小金井市の公園で、男性が指定薬物を含んだグミを配るという事件も起きています。当時、公園では祭りが開かれており、グミを食べた男女5人が体調を崩して救急搬送されました(男性は書類送検後、不起訴)。 また、体調不良は起こさないかもしれませんが、アイドルに対するストーカー事案で、自分の体液を混入させたお菓子をプレゼントするといった例もあります。 体調不良を起こした場合には、食べ物を配布した人が傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役または50万円以下の罰金)に問われる可能性があります。 ただし、被害者が体調不良を起こしたあとで、配布した人を見つけるのが難しいという現実的な問題や、傷害罪における因果関係(本当に配布した物を食べたせいで体調不良を起こしたのか)、故意(食べ物の配布時に、体調不良を起こすことを認識・認容していたか)の立証が難しいといった問題があります。 ほかにも、混入させた物の内容によって、特別法(上のグミの例では医療品医薬機器等法ですが、大麻なら大麻取締法等)の適用が問題となる場合もあります。