【解説】第2次トランプ政権はウクライナ戦争・中東紛争を終結させるのか?「非介入主義」「レガシー作り」がポイントに
ウクライナ和平より「戦争の終結」重視
この「非介入主義」と「レガシー作り」という2つのポイントを意識すれば、第2次トランプ政権に対ウクライナ、対中東はおよそ描けてこよう。 まず、トランプ氏はウクライナ戦争について24時間以内に終わらせる、ウクライナへの軍事支援を最優先で停止すると主張してきたが、24時間という数字は一種のアピールにせよ、バイデン政権によるこれまでの積極的な軍事支援は後退する可能性が高い。 上述した非介入主義とレガシー作りという点を考慮すれば、トランプ氏にとって重要なのは、ウクライナ和平というより戦争の終結であり、戦争を終わらせれば、これ以上の人的、物的被害は避けられると同時に、それを自らが主導したという結果を残すことができる。 バイデン政権やウクライナ、欧州などは一貫して、ロシアによる侵攻以前の状態での戦争終結を求めているが、トランプ氏が想定するのはロシア軍がウクライナの一部領土を実効支配する現状での戦争終結であり、そのために双方に攻撃の停止、ウクライナのNATO非加盟など様々な要求を双方に提示していくことが考えられる。これも内容ではなく結果重視の政策の一環と言えよう。 米国があらゆる負担を負うことなく、自らが戦争を終結させたというシナリオがトランプ氏の描く理想だろう。
イスラエルに攻撃停止求め「中東紛争」終結か
そして、中東も同じようなものだ。 2023年10月以降、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配する、イスラム主義勢力ハマス、親イランのシーア派勢力、そしてイランとの間で軍事的緊張が続いているが、イスラエルVSハマスを「フェーズ1」、イスラエルVS親イラン勢力を「フェーズ2」、イスラエルVSイランを「フェーズ3」とすると、現在の中東紛争の構図は「フェーズ2.5」と言ったところだろう。 当初はイスラエルVSハマスの構図だったが、レバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派といった、親イラン勢力がハマスとの共闘を宣言し、反イスラエル闘争をエスカレートさせて以降、今日では「フェーズ1」より「フェーズ2」が深刻な状況と言えるが、ネタニヤフ首相と良好な関係を維持してきたトランプ氏は、中東紛争を終結させる(ハマスや親イラン勢力からするとあくまでも攻撃の停止と映るだろうが)目的でイスラエルに攻撃の終了を求めることだろう。