話題の映画『花腐し』で初共演!柄本佑&さとうほなみが見どころを語る
柄本 今気づいたことがあって、荒井監督はずっと過去について語っているんだけど、過去の辛さも、現在の辛さとしてまったくもって美化しない。痛いものを痛いものとして、そのまま乗っけてくるんだよね。 さとう そうなの。男ふたりが話している思い出話が、まず本当に辛いですよね。祥子に関して言えば、伊関さんと過ごした時は、苦しい出来事もありながらも、希望に満ち溢れていた時期ですが、栩谷さんと一緒の時は、自分の中でもどうしていいかわからないような日々が流れていく中で死を意識するという辛い、辛い時間で。単純に体が変化する年代だったり、自分に近しいところもあって、だんだん鬱屈していく祥子を演じるのが本当にしんどかったですね。 柄本 荒井脚本の『赫い髪の女』にしても、石橋蓮司さんが宮下順子さんに、阿藤快さんを慰めてやってくれと頼んでおいて、蓮司さんはバーでひとりもんどり打つでしょう。辛い過去を辛いまま、現代でも徹底して美化しない。これは凄いことだと思いますね。一方で今回、荒井監督が「観る人を泣かしにかかってる」っておっしゃっていました(笑) ──伊関の部屋で目覚めた栩谷が、パソコンに打ち込んである脚本を読み、栩谷と祥子との場面を書き直すシーン、そしてラストの「さよならの向こう側」の熱唱は泣けましたね。 柄本 自分が出ている映画だと、どうしても僕は自分の反省ばっかり目について駄目ですけど、最後のカラオケのシーンはそうですよね。あ、それと僕は、最後に「おはようございます」って言う、さとうさんの顔が抜群によくて、ぐっときました。観る方たちには、そんな場面も楽しんでいただければなと思います(笑)。
柄本 佑(TASUKU EMOTO) 1986年東京都生まれ。2003年公開の『美しい夏キリシマ』(黒木和雄監督)で主演デビュー。19年には主演を務めた3作品『素敵なダイナマイトスキャンダル』、『きみの鳥は歌える』、『ポルトの恋人たち時の記憶』で第73回毎日映画コンクール男優主演賞や第92回キネ旬ベスト・テン主演男優賞などを受賞。近年の主な出演作品に『火口のふたり』(2019/荒井晴彦監督)、『痛くない死に方』(2020)、『ハケンアニメ!』(2022)、『シン・仮面ライダー」(2023)などがある。24年の大河ドラマ『光る君へ』(NHK)では、藤原道長を演じる