話題の映画『花腐し』で初共演!柄本佑&さとうほなみが見どころを語る
──祥子が運ぶ不思議な縁で結ばれる栩谷と伊関は、二人で一人というか、どちらも荒井監督が投影されているところがあるでしょうか。 柄本 荒井監督に聞いたら恐らく、原作がそうなっているからだとしかおっしゃらないでしょうけど、表裏というか、間違いなく2人には荒井監督ご自身を投影されているところがあると思います。 ──栩谷と伊関について、荒井監督や綾野さんとどんなお話をされましたか。 柄本 他の仕事の時もそうですけど、基本的に役についてとか喋ることがないんです。こんなに一緒のシーンで、ずっと台詞を交わしながら演じるのは初めてだったんですが、綾野さんとだと何か初めてみたいな気がしなくて、意外にすんなり入っていけた気がします。伊関の着ているロングコートやジーパンは自前で、若い時に映画を志していた頃には映画Tシャツを着るのどうですか、と監督に提案したり。衣装や格好を自分で作って準備して、なにしろ脚本としての強度が強いので、あとは現場で無責任にやらせていただいた感じです(笑)。 ──さとうさんが演じた祥子の場合、二人の男それぞれの記憶の中の女を演じるのは難しくありませんでしたか。 さとう 最初に脚本を読んだ時、悩んだのはそこでした。伊関さんの台詞で「いい女だったよな」というのがあって。別れて何年も経つ人にそんなことを言わせるって、どれだけいい女だったんだろうと。そこは、ちょっとどうしようと思いましたが、でもそういうことではないかもと気づいて。「いい女だった」という記憶よりも、「いい思い出だった」という記憶なんじゃないかと考えて、彼らと過ごした時間の中で、何でもないことだけれど、これが面白かったね、美味しかったねとか、そういうことの記憶でいいんじゃないかなと思ったんです。そうしたらもう祥子がどういう人物かみたいなことを意識するより、栩谷さん、伊関さんとの関係性を大事にした方がいいな、と考え直しました。