ヤンキースがマー君資金確保 A・ロッド出場停止で
米大リーグの薬物協定違反で211試合出場停止処分に異議を申し立てていたヤンキースのアレックス・ロドリゲス内野手(38)に対し、米国時間11日(日本時間12日)、調停人が、162試合の出場停止という裁定を下した。これによって、ロドリゲスは、プレーオフを含む、2014年シーズンの全試合への出場が停止された。同選手は、裁定を不服とする声明を出し、連邦裁判所で徹底抗戦する姿勢を明らかにしたが、米メディアは「ヤンキースとMLBの勝利」という論調だ。なかでも、ポスティング申請をした楽天の田中将大投手の獲得を狙うヤンキースにとっては、大きなマー君獲得資金を確保することになった。 ロドリゲスの来季出場停止処分が、ヤンキースにどんなメリットがもたらすのか。主に3つの観点が挙げられる。(1)浮いた年俸を田中資金に補填。(2)ロースター枠に1枠の余裕。(3)贅沢税回避の可能性。この3点を順にみていきたい。 (1)田中資金の確保 ヤンキースが、ロドリゲスに支払う義務があった来季の年俸約2500万ドル(約26億円)。これは、当面(1年目)の田中資金をカバーするのに、ほぼ間に合う金額だ。今季からポスティング制度のルール改正で、入札金は上限2000万ドル(約20億円)に制限されたが、米メディアによると、1年目が1300万ドル(約13億円)を支払い、2年目に残りの700万ドル(約7億円)を支払う“分割払い”が可能になった。 一部の報道では、田中の代理人を務めるクロースは、田中の単年の年俸として1300万ドル(約13億円)を要求しているとも報じられている。初年度の入札金&年俸で計2600万ドル(約27億円)と考えると、ロドリゲスの年俸分でマー君資金は、ほぼ確保出来たのも同然だ。 (2)40人枠の空き マー君獲りを狙うヤンキースのもう1つの悩みどころは、40人のメジャー登録枠の問題だ。現時点でヤンキースは、40人枠を使い切っており、前日、バーノン・ウェルズ外野手に戦力外通告して作った枠に、獲得した救援左腕ソーントンを入れたばかり。更に、基本合意に達しているロバーツ二塁手の枠を確保しなければならない状況にあった。 ロドリゲスの出場停止処分で、そのロバーツの枠はできたが、田中の獲得に成功した暁には、さらに、もう1つの枠が必要になってくる。ウェルズ放出で、現状ではイチローは、控え外野手として残留している格好だが、それでもトレード移籍の噂は絶えない。メジャーに精通している日本のファンは、「まさか、マー君にイチローが押し出されることが、あり得るのだろうか」と危惧しているかもしれないが、何でもアリのメジャーの世界、その可能性はなきにしもあらず、と念頭に置いた方がいいかもしれない。