8党首が「ネット党首討論」 集団的自衛権をめぐって論戦
衆議院選の公示を12月2日に控え、「ネット党首討論」(ネット事業者7社「わっしょい!ネット選挙」主催)が29日夜、都内で開かれた。8党党首が「安倍政権2年間の評価」「経済政策」「安全保障」などをテーマに議論した。集団的自衛権の一部行使を容認した閣議決定に関して、「他国での武力行使」「後方支援」をめぐって意見を戦わせた。 自民党の安倍晋三総裁、民主党の海江田万里代表、維新の党の江田憲司共同代表、公明党の山口那津男代表、次世代の党の平沼赳夫党首、共産党の志位和夫委員長、生活の党の小沢一郎代表、社民党の吉田忠智党首が出席した。
■海外で戦闘行為を行うのか?
安倍首相は、集団的自衛権の一部行使容認について、「まさに日本人の命と幸せな暮らしを守るための閣議決定」と説明。行使されるのは、国の存立が危うくなり、自由や民主主義、生存権などの権利が根底から覆される明白な恐れがあるときに限るとして、「そのとき日本が持っている権利を行使しないのはむしろ怠慢」と語った。そして「武力行使を目的とした戦闘行為に参加はない。平和国家としての歩みは変わらない」と訴えた。 それに対して、社民、共産、民主は閣議決定を撤回するべきだと主張した。 吉田党首は「閣議決定には『限定的な行使』とあるが。国会議論の中でも限定的ではすまないことは明らか」と批判。現に戦争が行われていなければ海外での後方支援を可能にするもので、「アメリカと一緒に戦争に巻き込まれる可能性が出てくる」と懸念した。 志位委員長も、アフガン戦争(2001年)、イラク戦争(2003年)などアメリカが起こした戦争に、「自衛隊が従来の戦闘地域まで行って軍事活動をすることになると首相が認めた」と反論。自衛隊が攻撃された場合には武器の使用もすることになることも認めたと述べた。 海江田代表は、いま国民が一番心配しているのは尖閣や小笠原などの領土問題であり、「これは個別的自衛権の問題」と指摘。集団的自衛権の問題は日本にに対する直接攻撃ではなく他国に対する攻撃だから、集団的自衛権の問題は「国民の間での議論が決定的に不足している」と批判した。 小沢代表は「集団的自衛権を行使したいなら憲法改正を主張すべき」と指摘した。日本を含め、それぞれの国は集団的・個別的自衛権を持つが、「日本国憲法には第9条がある」として、憲法の趣旨を閣議決定だけでは変えられないと批判した。また、日本の平和は「日米同盟と国連の機能で守っていくべき」との見解を語った。 平沼党首は、憲法解釈による集団的自衛権の行使は必要だとし、憲法前文にあるように「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」することは、現実の世界ではできないと語った。また、戦争に巻き込まれるから危険というのではなく「日本国として絶対に侵略戦争はしないという形で安全と平和を担保していく姿勢が必要」と訴えた。 山口代表は「憲法解釈は長年、政府がとってきた基本の枠内で完成した」と説明。他国への武力攻撃があった場合も集団的自衛権が行使できることを明記したが、条件は「国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に限っていると反論。「これまでの論理的な整合性、歯止めは守られている」と述べた。 江田共同代表は、他国への攻撃であれ自国への攻撃であれ、「国民の生命、財産に重大な危害や戦火が及ぶ場合、自衛権を行使するのは9条で何ら禁止されてないという立場」と説明。ただ、党として認めるのは、必要最小限の範囲までとした「昭和47年の政府見解の延長線上の個別的自衛権」に当たり、また一方で「集団的と言っていいようなケースを限定的に認める」とした。 討論では「後方支援」をめぐっても白熱した。
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