財務省は国民民主の「年収の壁」引き上げに後ろ向き…旧民主党政権時と同じ“ネガキャン”展開に国民うんざり
政策協議を進めることで合意した自民党と国民民主党。自民党は11月中旬にもまとめる総合経済対策に、国民民主が主張する「手取りを増やす経済政策」の一部を反映させる考えで、2024年度補正予算案の年内成立などについて協力を得たい考えだ。 【写真】「ルールを守る」石破自民が早くも破った…会派入り要請した萩生田氏、平沢氏を「党所属議員」と扱わないインチキ 国民民主が訴える「手取りを増やす」策として主張しているのが「年収の壁」の引き上げだ。 現行制度だと、年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税などが発生するが、この「壁」を178万円まで引き上げると、税負担の部分が減るため多くの人の手取りが増えるーーというものだ。 例えば年収300万円の独身の場合、年間で約11万円余り、夫婦のどちらかが働き、年収700万円の場合、年間15万円余りが減税になるという。 財務省が2月に公表した、個人や企業などの所得に占める税金と社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」(2023年度)は46.1%。つまり、国民は稼いだ年収の半分近くを負担しているわけで、「江戸時代よりも酷い五公五民」といった批判の声が上がる中、少しでも「手取りが増える」のであれば大歓迎だろう。 裏金事件で「NO」を突きつけた自民党に近寄る国民民主の姿勢に対して賛否はあるものの、国民生活が向上する策であれば進めるべき。ところが、そんな期待感に早々に水を差したのが政府・財務省だ。 ■旧民主党政権でも政策に「財源不足」や「減収」を指摘するネガキャンが… 林芳正官房長官(63)は10月31日の会見で、この「年収の壁」の引き上げについて、「機械的に計算すると国と地方で7兆~8兆円程度の減収が見込まれる」と発言。高所得者ほど減税の恩恵が大きいとの見解も示すなど、後ろ向きの姿勢がアリアリだった。 SNS上では《また財源論を楯に反対か。こういう試算だけは早いな》《防衛費の爆増を抑えればいいのでは》《海外にばらまくカネには何も言わないクセに》との声が上がっているが、旧民主党政権が「子ども手当」や「高速道路の無償化」を打ち出した際にも「財源不足」や「減収」を指摘するネガキャンが繰り広げられたのと同じ展開だ。 <法人税優遇、減収は過去最高2.3兆円 「隠れ補助金」企業は非公表>ーー。朝日新聞は4月、特定の企業や個人の税負担を優遇する「租税特別措置」(租特)による法人税の減収額が2022年度は2兆3015億円にのぼり、現行制度になった11年度以降で最高となった、と報じていた。 所得税などを含めた同年度の減収額は約8.7兆円にも達し、9年連続で8兆円超え。税収全体の1割余りに及ぶというから、本来はこうした「隠れ補助金」などと呼ばれる愚策をやめればいいのではないか。 法人税や金持ち優遇との声がある金融所得課税には全く手を付けず、消費税についても廃止はもちろん、減税すら検討しない。その一方で、苦しい家計をさらに追い詰めるような新たな徴税策を次々と模索する政府・財務省。メディアも「減収」などと伝えず、「国民の手取りが7~8兆円増える」と報じてもいいのではないか。 ◇ ◇ ◇ 裏金総選挙が終わり、自公は少数与党に転落。石破自民に国民民主の玉木代表は対峙するのか。●関連記事【もっと読む】『国民民主・玉木代表「野党結集」裏切りの歴史…浮かれる政局キーマンは政権交代の足を引っ張ったA級戦犯』【さらに読む】『国民民主党「躍進」で政局のキーマンに…ウキウキ玉木代表の裏に潜む小池都知事に要警戒』などを取り上げている。