【高校バスケ】洛南の「ゲームを落ち着かせる」キーマン佐々木凌汰【ウインターカップ】
実力者集団の土台となる仕事人
「SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会」は大会3日目を終了し、女子はベスト8、男子はベスト16が出そろった。2年ぶりのウインターカップ進出を果たした洛南も、四日市工との2回戦に快勝(96-69)し、福岡第一との3回戦に駒を進めた。 ゲーム自体は出だしから洛南ペースで進み、1Qを終えて28-12。エースの#4 松本秦が1回戦で負った足首のケガの影響から、大事を取って8分ほどしかプレーしない状況ながらも、終わってみれば6選手が2桁得点を記録する盤石の試合運びで勝利した。 今年の洛南の特徴として、エースの松本以外にも、この試合のように複数の選手が2桁得点を狙えるバランスの良さがある。伝統のパスワークや基本に忠実なディフェンスなど、淡々と正しいプレーを選択していく様は、実に洛南らしい。 中でもキーマンとなる一人がセンターを務める#6 佐々木凌汰だ。194cmとビッグマンとしてはそこまで大柄ではなく、線も太いとはいえない。しかし、留学生をも抑えられる芯の強さがあり、長い腕を生かしたリバウンドも安定している。さらにはオフェンスでは柔らかいジャンパーやパススキルも高く、スクリーナーとしても堅実につなぎ役をこなす。 佐々木の貢献について河合祥樹コーチは「彼は3年目の1年間ですごい成長してくれて、インサイドで仕事をしてくれるという面で信頼してるところはあります。交代して控えメンバーが出たときにも、ゲームを落ち着かせるための1人として置いておきたい選手です」と信頼を寄せている。 洛南に入学する以前は全国大会の経験は一切なかったという佐々木。洛南入学当時は「ひょろひょろで3Pシュートも届かないくらいだった」(河合コーチ)という。しかし、そんな自分がどうしたらチーム内の競争で生き残れるかを考えた先に行き着いたのが、ブルーワークに徹することだった。 「今年は自分の役割も大きくなって、留学生に自分がマッチアップして、リバウンドを取ったりという部分を頑張ろうと思っています。オフェンスでも留学生に付かれたときは外を決め切らなければいけません。まだ体はそんなに強くないのですが、ディフェンスやパスの判断などはほかの選手よりもできるのかなと思います」と佐々木は自身のプレーを評価した。 決して口数は多くないし、派手なプレーをするわけではないが、プレーではチームのバランスを整える上で欠かせない。四日市工戦でも終わってみればチーム最長の34分30秒プレーし、14得点、7リバウンド、2アシスト、2スティール、3ブロックと攻防にチームの土台となっていた。河合コーチも「彼のファウルが混んで早めにベンチに下がってしまうとゲームのリズムが崩れてしまうというか、5人のバスケのバランスが崩れるので、彼の存在は重要です」と、改めて佐々木の重要性を説く。 明日の福岡第一戦は今大会で初めて留学生を擁するチームとのマッチアップとなる。これまで以上に佐々木の渋い貢献が重要だ。
文/堀内涼(月刊バスケットボール)