どうする、どうなる、リオ五輪日本代表のOA問題
オーバーエイジが採用されるようになったのは、1996年アトランタ大会のことだ。日本の男子サッカーはそのアトランタ大会で28年ぶりの五輪出場を果たして以降、5大会連続してオリンピックに出場している。 だが、これまで、オーバーエイジの人選がすんなり決まったことはほとんどない。 96年アトランタ大会:なし 00年シドニー大会:MF三浦淳宏、DF森岡隆三、GK楢崎正剛 04年アテネ大会:MF小野伸二、GK曽ヶ端準 08年北京大会:なし 12年ロンドン大会:DF徳永悠平、DF吉田麻也、GK林彰洋(バックアップメンバー) 枠いっぱいの3人を招集できたのは、シドニー大会しかない。アトランタ大会の招集ゼロはチームを率いた西野朗監督の意向だったが、アテネ大会では高原直泰がエコノミークラス症候群と診断され、招集を断念した。北京大会では招集を予定していた遠藤保仁がウイルス性感染を患い、大久保嘉人は所属していたヴィッセル神戸に招集を断られた。ロンドン大会ではバックアップメンバーにオーバーエイジを選んでいることから、希望する選手との交渉が決裂した苦肉の策だったことをうかがわせる。 過去の例と同じように、リオ五輪のオーバーエイジ選考も、どうやらひと波乱、ふた波乱ありそうだ。 もともと、チーム力をアップさせる狙いのある規定であり、手倉森監督も「メダルを獲得するためにオーバーエイジを招集する」と語っていたが、ここに来てチームの台所事情ゆえに、オーバーエイジの力を借りる必要性も高まっている。 今年に入って、レギュラークラスの選手にケガによる長期離脱者が増えているのだ。右サイドバックの松原健(アルビレックス新潟)と室屋成(FC東京)、センターフォワードの鈴木武蔵(アルビレックス新潟)に加え、背番号10を背負う中島翔哉(FC東京)までも負傷してしまった。 DF室屋成:左足ジョーンズ骨折/全治約3か月(2月20日発表) FW鈴木武蔵:左大腿四頭筋肉離れ/全治約3か月(3月10日発表) DF松原健:右ひざ外側半月板損傷/全治約3か月(3月10日発表) FW浅野拓磨:右腸腰筋損傷/全治約3週(4月2日発表) MF中島翔哉:右膝内側側副靭帯損傷/全治約5~6週(4月25日発表) 現状、オーバーエイジは不要であると断言できるポジションは植田直通(鹿島アントラーズ)、岩波拓也(神戸)、奈良竜樹(川崎フロンターレ)の3人が二席をめぐってハイレベルな争いを続けているセンターバックぐらいだろう。