どうする、どうなる、リオ五輪日本代表のOA問題
一方、松原と室屋が負傷離脱中のサイドバックには、3月のポルトガル遠征でファン・ウェルメスケルケン・際を、4月の静岡合宿では三丸拡(サガン鳥栖)と小川諒也(FC東京)を招集。両サイドでプレーでき、経験のある長友の招集を希望する手倉森監督の気持ちはよく分かる。 手倉森監督はオリンピックで4-2-3-1のフォーメーションを採用する意向を明らかにしているため、中盤は5人。その中でポジションが確約されているのは、ボランチでキャプテンの遠藤航(浦和レッズ)ぐらいだろうか。中島が負傷中であり、最終予選でもチームにフィットし切れなかった南野拓実も所属するザルツブルクで年が明けてからサブに回る機会が多いことを考えると、指揮官が本田や香川の招集に色気を見せるのも無理はない。 FWに関して、久保裕也(ヤングボーイズ)は1トップ(もしくはトップ下)のレギュラーに違いなく、スーパーサブの浅野(サンフレッチェ広島)も代表チームやJリーグで結果を残しているが、計算できる選手が彼らふたりだけなのは心許ない。 こうして見ていくと、サイドバック、ボランチ、攻撃的MF、1トップのいずれかのポジションにオーバーエイジを起用し、補強したい。 Jリーグで好調を維持しているという点で言えば、大久保嘉人や中村憲剛、小林悠(いずれも川崎)、阿部勇樹や武藤雄樹、柏木陽介、槙野智章(いずれも浦和)、金崎夢生(鹿島)といった選手の名前が挙がる。 ただし、先ほども述べたように、オリンピック開催中もリーグ戦が中断されないため、日本サッカー協会は、1チームから3名までしか招集しないというルールを取り決めている。 例えば、川崎フロンターレからはすでに大島僚太、原川力、奈良と3選手が五輪代表候補に選ばれている。彼ら3人が18人の代表メンバーに選出されれば、川崎からはこれ以上招集できない。 また、いかに有能なベテラン選手を選んでも、若いチームに馴染むのに時間がかかったり、若い選手たちが萎縮したりしてしまっては意味がない。それならば、92年生まれの宇佐美貴史(ガンバ大阪)、柴崎岳、昌子源(いずれも鹿島)といったU-23世代と年齢が近く、国際経験を積ませたいA代表の選手たちを招集するというのも一考だ。 オーバーエイジについては、5月中に決める方針だったが、メンバーの登録期限である6月10日ぎりぎりまで長引く可能性も出てきた。オーバーエイジの人選が確定しなければ、代表チームの強化の妨げにもなるが、まだまだ波乱はありそうだ。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)