橋下氏再選で「大阪都構想」どうなる? 国に総合区構想も
3月24日に投開票された大阪市長選は、出直し立候補していた橋下徹前市長が当選を果たしました。橋下市長は、今後、暗礁に乗り上げていた大阪都構想を進めることになります。今回の市長選で、橋下市長は異例の選挙戦を展開しました。街頭で選挙活動をほとんどおこなわず、小規模集会「タウンミーティング」(TM)で大阪都構想の説明に終始したのです。 【図表】「大阪都構想」そもそもの狙いは?
東京と大阪「ふたつのエンジンで」
橋下市長が力を入れている大阪都構想は、今になって浮上した政治課題ではありません。2011年11月の大阪府知事選・市長選(ダブル選)でも争点になっていました。 2011年のダブル選で、橋下市長は「東京と大阪、ふたつのエンジンで世界と戦えるような日本にしていく」ことを掲げ、日本をさらに経済発展させるために大阪を北京や上海のような発展著しい都市にすることを目標にしました。当時の橋下市長は府市統合で大阪都に権限を集中させて、巨大な権限で大阪を発展させることを構想していたのです。
「枠組みから作り直す」のが都構想
都構想とは――現在、日本では東京のみが都を名乗っています。よく勘違いされますが、東京は首都だから「都」なのではありません。昭和18年まで、東京も大阪や京都と同じように「東京府」でした。 都とは、府と市を合併させた自治体です。いわば、住民目線の市町村と広域行政を担当する道府県とを合併させて、権限を集中させたのが「都」なのです。他方、生活に密着した細かな行政は、区が担当します。大阪都では地下鉄などの事業は民営化し、博物館や大学などは都に移管。ほかの仕事を区が担当するなど役割を分担。二重行政とされてきた事業を整理することが、大阪都構想の根底にあります。 これらの二重行政を解消することで、財源に余裕ができます。浮いた分の財源で、福祉・医療・教育を充実させることができるというわけです。今回の市長選のTMで、橋下市長は「蓮舫さんは行政の無駄を削減した。でも、事業仕分けのような無駄削減や見直しレベルでは限界がある。ゼロから枠組みを作り直さないと、大阪市の体質は変わらない」と説明し、無駄の削減を強く訴えていました。