橋下氏再選で「大阪都構想」どうなる? 国に総合区構想も
「成長戦略」から「行革」にシフト?
ダブル選で語られた大阪都構想と、出直し市長選で語られた大阪都構想。これらを比較してみると、当初は成長戦略だった大阪都構想が、行財政改革に重心をシフトさせているようにも見えます。今回は市長選ということもあり、「市民目線で話をするために、マクロ視点の成長戦略ではなく、あえて市民が実感しやすい行財政改革に絞って話をした」とも考えられます。しかし、有権者としては、成長戦略なのか行財政改革なのかが理解に戸惑うこともあり、わかりづらい印象も受けます。 TMでは、有権者が臆せずに市長に教育や福祉、防災や景気対策などを質問する光景が見られました。政治家に直接質問する貴重な機会とはいえ、先の都知事選ではこうした光景は見られませんでした。大阪特有の物怖じしない気質にも感じますが、もっと考える時間がほしいという思いが今回の23.59%という低投票率につながったともいえます。 実際、大阪維新の以外の政党は、大阪都の可否をここで出すのは拙速だとして、橋下市長にもっと議論を尽くすように求めていました。
「都構想」と重なる?地方自治法改正案
「大阪都」が議論される中、総務省は今国会で地方自治法を改正することを目指しています。この法律改正の主眼は、現在の政令指定都市の行政区を総合区に格上げすることで区の権限を強化しようというものです。 「総合区は、特に大阪都を意識したものではありません。2年前から地方制度調査会で大都市制度を議論していましたが、大阪都とは違った発想と手法で、地方分権を進めようと今回の法改正に盛り込んだものです」(総務省自治行政局行政課) 総合区が実現すると、大阪都の新鮮味が薄れてしまうことは否めません。新制度との比較も、再度シミュレーションしなければならないでしょう。 これまで、政治の舞台は国政ばかりに光が当たり、地方が注目を浴びることは稀でした。そういう意味で、橋下市長が全身全霊を賭けた大阪都構想は、地方分権のあり方に一石を投じた“地方発のビッグプロジェクト”と言えるかもしれません。 再選を果たした橋下市長が、今後、大阪都にどのような姿勢で臨むのか? 有権者の関心は薄かったかもしれませんが、政府や総務省、はたまた同じ政令指定都市である横浜市や名古屋市、なにより大阪府内の市町村からの注目は高いといえるでしょう。 (小川裕夫=ライター)