マイクロンも米国からの補助金確定したが…サムスン・SKには便りなし
米国が自国半導体企業のマイクロンに対し、半導体法に基づいて約62億ドル(約9430億円)規模の補助金を支給することを確定した。ジョー・バイデン政府が来年1月の任期終了を控えて各企業と補助金交渉を次々と決着させる中で、メモリー半導体占有率3位のマイクロンが1、2位走者であるサムスン電子とSKハイニックスより先に補助金を確定させた。 11日、ブルームバーグ通信など外信によると、前日米商務省はマイクロン・テクノロジーに対して61億6500万ドルの補助金支給を最終確定した。同省は「企業の実態調査が完了した」とし「約2万件の雇用を創出して、現在2%未満の米国の先端メモリー製造占有率を2035年までに約10%に増やすために役立つだろう」と明らかにした。マイクロンは補助金を利用してニューヨークとアイダホ州に半導体工場を建設する計画だ。 これによってインテル(78億6600万ドル)や台湾TSMC(66億ドル)、グローバルファウンドリーズ(GlobalFoundries)(15億ドル)など主要半導体企業が補助金支給を確定させた。韓国企業の中では5日、SKC子会社の半導体ガラス基盤会社「アブソリックス(Absolics)」が7500万ドルの受領を確定したのがすべてだ。バイデン政府が補助金を支給することで予備取引覚書(PMT)を締結した約20社はほぼ年末までに資金の配分を受けるだろうと、ジーナ・レモンド商務長官は明らかにしていた。 しかし、サムスン電子とSKハイニックスへの補助金支給についてだけはまだ何も便りがない。サムスン電子は2021年米国テキサス州テイラー市に新規工場投資を決めて、その後米国政府から64億ドル補助金の支給を受けることにし、当初の計画(170億ドル)の倍以上となる400億ドル以上の投資を決めた。新規工場では最先端4ナノと2ナノ(1ナノ=10億分の1メートル)工程半導体を生産する計画だ。しかし最近収率(良品比率)や顧客受注などで困難に直面、工場稼働時点が今年末から2026年にずれ込んだ。これに先立ち、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長はテイラー市プロジェクトに対して「状況の変化で少し難しくなった」と話した。 ここに最近の韓国政治状況まで重なり、為替レートなど突発変数が生じた。高為替レート状況が続けば、装備や設備搬入時のコスト負担が増大する場合がある。そのうえ米国事業のリスクを一部相殺できると期待を寄せていた半導体特別法議論まで弾劾政局でオールストップした状態だ。当初与党が発議した半導体特別法には研究開発(R&D)人材に対する週52時間規制例外の以外にも、補助金支給など直接的な財政支援の根拠も入る予定だった。 中国製品の影響で旧型メモリー半導体価格が下落して収益性に支障が予想される状況で、国内外の変数によりサムスン電子が終盤に米国投資において速度調節を悩んでいるのではないかという解釈もある。これについてサムスン電子側は「米国政府との補助金交渉は引き続き進行中」とし、詳しい言及はしていない。半導体業界関係者は「サムスンの立場ではさまざまな不確実性のために投資時点を悩んでいる可能性がある。ひとまず工場に装備が入らないことには雇用は創出されず、そのような投資が遅れていることから(米国のほうも)補助金を一挙両断には確定してくれないようだ」と話した。別の業界関係者は「PMTの締結順序に従って、補助金確定もまた順次行われていると承知している」とし「年末までには支給されるだろう」と話した。 SKハイニックスは米国インディアナ州に39億ドルほど投資して先端パッケージング工場を建設し、補助金として4億5000万ドルを受けることになっている。会社側は他の企業より3~4カ月ほど遅れた8月にPMTを締結した影響が一部あることから、順調に交渉しているという立場だ。補助金支給に反対の立場を取るトランプ政府がスタートする場合、補助金規模が予想よりも縮小するか、別の投資条件がつく場合もあるため、韓国企業は早期に支給を確定させなければならない。