「実験に没頭」だけじゃない資生堂研究職のリアル 民間企業に所属する研究者に求められること
と、三浦は語る。 ■目指す「サイエンティスト」とは? 昼食後は白衣に着替えて研究室に入り、研究員が開発しているファンデーションのチェックを始めた。ここからは研究者としての本領発揮だ。 「ファンデーションによって作り方はいろいろある。作り方によって粘度が変わったり、乳化型が変わったりするので、何を作りたいかに応じて、作り方を1品ごとに考えていく」(三浦) 研究室でできても、工場で同じものができるとは限らない。そのため、工場で量産するときの設備や状況などを想定した条件設定まで、三浦を始めとする研究チームで担っているという。
「本質的にはサイエンティスト(科学者)になりたい」と語る三浦にとって、仕事とは何か? 「長い人生の中で考えれば、そのゴールに向けての”手段の1つ”みたいなものかもしれない。ただ少なくとも、それをやっているときに関しては、誰かの心に残る製品を作ることであり、これを自分から提案していきたい。そう考えると、会社の中でのキャリアというより、社会に対して提供できた価値。本物のサイエンティストだったら、(重要なのは)そこだと思うんですよね」
(文中敬称略)
東洋経済オンライン編集部