日本は民間出身の国務大臣が10年以上誕生していない 大臣起用をめぐる日米の大きな違い 田内学
実際に、そういった人事が行われている分野もある。我らの年金約246兆円を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、2020年に投資責任者として植田栄治氏を任命した。彼もまた外資系証券出身で「市場経済の力学」をよく知る人物だ(筆者が以前働いていた会社で上司であった時期もある)。市場環境が良かったこともあるが、4年で約96兆円もの収益を上げている。 日本もアメリカのように民間から国務大臣を指名することは可能だ。国務大臣の過半数は国会議員である必要があるが、それ以外は民間の専門家を採用することもできる。 ところが、10年以上、民間出身の大臣は誕生しておらず、仲良しの議員へのご褒美として大臣ポストが使われているように思えてならない。日本の未来へ舵を取る大臣のポストが、「希望」や「憧れ」を象徴し、子どもたちが将来なりたいと思えるような存在に戻る日を期待したい。 ※AERA 2024年12月9日号
田内学