【社説】米大統領が誰になっても朝鮮半島には「茨の道」、韓国の役割はより重く
22日に終わった米民主党の全国大会で、カマラ・ハリス副大統領(59)が大統領候補に確定した。同氏はこの日の候補受諾演説で、実に13回も「戦おう(fight)」と叫びつつ、米国の未来、自由、民主主義、中産階級、女性の中絶権などのために闘争していくと表明した。弱点といわれてきたインフレ対応などの経済対策や移民問題などについての政策には言及していないが、民主党支持者を一つにまとめるには十分だったという評価が相次いでいる。ハリス氏は全国単位はもちろん、11月の大統領選挙の勝敗を分けることになる「激戦州」での世論調査でもリードしており、ドナルド・トランプ前大統領(78)を相手にして勢いに乗っていることは明らかなようにみえる。 今回の選挙は、米国だけでなく全世界の「未来」のかかる非常に重要な選挙であることは間違いない。米国人は、国内的には「この国は果たして誰の国」であり、「自分たちのアイデンティティーとはどのようなものか」という核心を突く問いに答えなければならず、国際的には世界の「唯一の覇権国」として自分たちが今まで果たしてきた積極的役割を今後も担っていくのかを決めなければならない。 その中で韓国にとって「絶対的」に重要なのは、新たな米国政権の朝鮮半島政策だ。ハリス氏は同日の演説で、「トランプを応援する金正恩(キム・ジョンウン、北朝鮮国務委員長)のような暴君や独裁者の機嫌を取ることはしない」と述べたが、トランプは1カ月前の共和党大統領候補受諾演説で、「私は金正恩とうまくやってきた。多くの核兵器を持つ人とは仲良く過ごした方がよい」という真逆の立場を表明している。まだ選挙結果は予断できないうえ、両候補のアプローチも180度異なるため、政府の苦悩は深まらざるを得ない。 一つ明らかなことは、いずれの候補が勝っても韓国の前に広がるのはつらい「茨の道」だということだ。ハリス氏が勝てば、「朝鮮半島非核化」のために北朝鮮と対話すると述べつつ実際には何もしない「戦略的忍耐」3.0が現実のものとなる可能性が高い。北朝鮮の核問題はさらに4年間放置され、朝中ロの脅威に対抗するために韓米日の軍事協力を要求する声ばかりが強くなるだろう。トランプ氏が勝てば、北朝鮮の核を容認するという譲歩をする可能性もある。韓国にとっては厄災だ。 結局、米国に非核化原則を維持させつつ、北朝鮮の核問題の外交における優先順位を引き上げさせるために、最善の努力を尽くすしかない。そのためには、米国の顔色ばかりをうかがって北朝鮮に対する圧力を強化してばかりのこれまでのアプローチから脱し、韓国自らが朝中ロと対話する主体的努力が必要だ。さらに4年を浪費すれば、北朝鮮の核問題は本当に解決不能となる。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )