【中央時評】ロシア傭兵派遣と金正恩の未来(2)
逆に金正恩に最悪のシナリオが生じることもある。死傷者が増えれば北朝鮮内部で不満が出てくるはずだ。戦場で大規模な離脱者が発生しても大きな負担となる。外部世界を経験した若い軍人の考えがどう変わるかも心配だ。大きなお金が入ってくれば権力間の利権衝突も増える。プーチンと運命共同体になって共に乗り越える可能性もある。戦況が不利になればロシアでプーチンに対する反対世論が強まる。プーチンが核を使用すれば戦争拡大が避けられない。そうなれば金正恩の未来もプーチンと連動する。またプーチンは北朝鮮を戦争にとどめておくために先端軍事技術を一度に与えることを避けると予想される。その過程で双方がねじれることも考えられる。その時に自身の運命が暴風の海の小さな船になることを金正恩も知っているだろう。 米大統領選挙後に戦争が早期に終結する可能性もある。すると北朝鮮の価値は急落する。プーチンは戦後再建事業に数十万人の北朝鮮勤労者を雇用する義理の男になるだろうか。大ロシア帝国という野望を成し遂げるために北朝鮮と戦争共同体として残ろうとするだろうか。それとも経済を回復させるために北朝鮮を捨てるだろうか。専門家の意見は分かれる。しかしこの時にプーチンが金正恩の未来を左右するという点は確実だ。韓米と友好国は終戦や休戦協定条項にロシアが従来の国連決議を遵守するという内容を挿入し、北朝鮮勤労者の雇用を防がなければいけない。そうしなければ対北朝鮮制裁は無力化する。朝中ロのうち最も変動性が大きい地殻プレートは北朝鮮だ。このプレートが自由に動けないように縛りつけなければいけない。 四方が地雷原だ。夜まで何も見えなければ我々は正体性を羅針盤にして進まなければいけない。今はウクライナに殺傷用武器を韓国が直接供給するほど暗い夜なのか。それなら米国および欧州友好国と緊密に調整して共に行動することが求められる。同時にアジア友好国との安保協力を制度化する必要がある。しかし光があって周辺が見えるのなら、方向を定めるものの地形を確認して一歩一歩動かなければいけない。まだ夜ではない。見える時だ。したがって勇敢であるよりも慎重でなければいけない。 キム・ビョンヨン/ソウル大客員教授・経済学部