説明下手は「順番を入れ替える」だけで解決する…説明がうまい人が徹底して冒頭に伝えていること
■「感情を抑えて説明する」3つのメリット 遅れが出ていることに、本心はイライラしているかもしれません。 しかし、説明上手な人は、その感情を抑えて説明することで、次の3つのメリットがあることを知っています。 ①話の客観性 感情を抑えることで、冷静に事実や数字に基づいた情報を伝えることができます。これによって、聞き手は状況を正確に把握し、適切な判断を下すことができます。 ②信頼性の向上 感情を爆発させてしまうと、周りからは「大人気ない」「感情に左右されている」と冷ややかな目で見られます。 逆に、常に冷静な態度を取ることで、「余裕がある」「感情よりも場をマネジメントする意識が強い」と印象づけ、「信頼できる人だ」と評価してもらいやすくなります。 ③建設的な対話を促進する効果 感情をぶつけると、相手も冷静な判断ができなくなります。感情を抑えて建設的に話すことで、質の高いコミュニケーションが図れるようになります。 とはいえ、つい感情的になってしまうという人もいるでしょう。私の経験上、次の3つが原因となっているように思います。 一つは、ストレスです。ストレスを感じると、心に余裕が持てなくなります。 次に、関与の度合いです。その物事に深く関与していると、どうしても感情的になりがちになり、客観視できなくなります。 最後は、経験不足の場合も考えられます。未経験のものに着手するときほど、心に余裕がなくなります。 ■事実に意識を向ける「ポジティブフレーミング」 では、最後に「感情的にしゃべってしまうくせ」を直す方法を紹介しましょう。 まず、話す前に深呼吸をして心を落ち着かせることです。即座に反応すると、感情のままに説明してしまいます。一呼吸置いて考える時間を作るために、深呼吸をするというのが第一歩です。 次に、「ポジティブフレーミング」の手法を覚えておきましょう。 ①事実に意識を向ける習慣をつける ②可能な限り事前に情報を整理し、伝えるべきポイントを明確にする ③問題点だけでなく、解決策や改善点にも目を向ける この流れを意識しておくと、少しずつ感情を抑えられるようになります。 もちろん、どんな人にも感情はありますし、感情を持つこと自体は間違いではありません。ただ、感情をぶつけて話すことのデメリットを肝に銘じておくことです。 ---------- 説明上手な人は、常に感情を抑えるよう、心と頭の整理をしている ---------- ---------- 鶴野 充茂(つるの・みつしげ) ビーンスター 代表取締役、広報アドバイザー 社会構想大学院大学客員教授、日本広報学会常任理事。コミュニケーションの専門家として、国内外数百社の経営者や政治家、医師・弁護士など専門家向けに広報アドバイザー、トレーナーとして活動するほか、東京理科大学オープンカレッジなどで説明力や文章力を高める講座を提供するなど広くビジネスパーソンに向けてコミュニケーションを教えてきた。東日本大震災後に国会内に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)でデジタル・コミュニケーションを統括、全国がん登録制度の発足時にはPR責任者を務めるなど、全国規模のコミュニケーションプログラムやPRキャンペーンにも携わる。水循環基本法フォローアップ委員会委員。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)元理事。筑波大学(心理学)、米コロンビア大学院(国際広報)卒。 ----------
ビーンスター 代表取締役、広報アドバイザー 鶴野 充茂