「ものすごく支えてくれる」オーストリア戦士とラングニック監督の厚い信頼関係。ポーランド戦の勝ち越し弾を呼び込んだHTの言葉とは?【現地発コラム】
バウムガルトナーが肩の力を抜くことができた言葉
ラングニックが動いた。機能していなかったボランチのフロリアン・グリリチュを下げ、そこにコンラード・ライマーを移す。そしてバウムガルトナーを右サイドから得意とするトップ下のポジションに。これで歯車がかみ合った。 66分、途中出場のアレクサンダー・プラスからグラウンダーのパスが送られる。鋭い動きでボールをもらいに行ったアルナウトビッチがDFをひきつけてそのままスルー。一瞬ぽっかりと空いたスペースにバウムガルトナーは巧みなコントロールでボールを運ぶと、2タッチで放たれたシュートは正確にゴール右へと飛んだ。 ラングニックはハーフタイムにバウムガルトナーにこう伝えたという。 「バウミィ、少なくとも普通のフォームの君が必要だ」 最高レベルのプレーをしようとしなくていい。普通にできることを普通にしてくれたらそれだけでチームにとって非常に価値があるんだ、と。このメッセージを受けて、バウムガルトナーは肩の力を抜くことができたのだろう。 これで直近の7試合中6試合でゴール。フランス戦ではビックチャンスがありながらノーゴールに終わったが、「いろいろ考えはしたけど、サッカーってそういうものだから。いつも100%にうまくいったりはしない」と気持ちを切り替えてこの試合に臨んでいたことが功を奏した。 3戦目では強豪オランダと対戦する。覚醒しつつあるエースは、チームを決勝トーナメント進出に導けるか。 取材・文●中野吉之伴