イーサリアムの厳しい現実
投資家にとって、イーサリアムの将来は、イノベーションと健全な経済ポリシーの維持をいかに両立させるかにかかっていると、コインシェアーズ(CoinShares)のデジタル資産アナリスト、マシュー・キメル(Matthew Kimmell)氏は語る。 ● イーサリアムブロックチェーンが幅広いアプリケーションや資産の基盤となる能力を備えていることは、長年にわたって証明されているが、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)への投資はますます複雑さを極めている。プロトコルの大きな変更、特にEIP-1559とEIP-4844を有効化するハードフォークを受けて、投資家はイーサリアムブロックチェーンの普及が、暗号資産イーサリアムの長期的な価値にどのように反映されるかを疑問視している。 同プラットフォームは拡大しているものの、その成長とETHの需給、そして価格との関係は、かつて見られたほど単純ではなくなった。
EIP-1559による変化:ETFの価値とユーティリティ
イーサリアムが2021年にEIP-1559を実装した際、取引手数料(基本手数料)の圧倒的多数が流通からは永久に排除されるバーンメカニズムが導入された。これにより、イーサリアムブロックチェーンの使用とETHの供給量に直接的な関係が生まれた。ユーザーがイーサリアムブロックチェーンでの取引に対して手数料を支払うと、バーンメカニズムはデフレの推進力として機能し、ETHの供給量を減らし、価格に上昇圧力をかける。 2023年、コインシェアーズの評価モデルは、2021年のピーク時に達成したような取引手数料で年間100億ドルを生み出すといった適切な条件下では、ETHは2028年までに約8000ドルに達する可能性があることを示した。 しかし、それ以降、デンクン(Dencun)ハードフォークとレイヤー2(L2)の台頭によって楽観的な見方は薄れ、手数料のバーンとETHの潜在的な価値は大きく変化した。