「フワちゃん活動休止」で芸能人も戦々恐々か SNSの裏アカ利用に潜む深刻な法的トラブル、エンタメ弁護士の指摘
YouTuberでタレントのフワちゃんが、Xの不適切な投稿を理由として芸能活動の休止を発表した。 【お詫びするフワちゃん】 ラジオのレギュラー番組の打ち切りが決定し、出演していたGoogleのCMも公開停止され、各所に影響が出ていた。直接の謝罪を受けたお笑い芸人のやす子さんが「許してます」と考えを明らかにしたが、批判はなかなか止みそうにない。 弁護士ドットコムニュースは別の法律解説記事で、今回のフワちゃんの投稿が、民事上、名誉感情侵害として、不法行為になる可能性があるという指摘をした。 さらに、今回の騒ぎをめぐって注目されたのが「裏アカウント」の存在だ。表立って言えるような内容ではなかったため、日常的に裏アカで他人を貶める内容の投稿をしており、それが「裏アカの誤爆」という形で現れたのではないかと疑われたのだ。 フワちゃんは誤って操作した結果だと説明し、裏垢による投稿を否定したが、SNS上の反応を見ると、いまだその疑惑を完全に消し去ることはできていないと言える。 芸能界のトラブルに詳しい河西邦剛弁護士は「芸能人の裏アカを含めたSNS利用のミスがあまりにリスキーだったことが浮き彫りになりました。しかし、私が知る限り、ほとんどの芸能人が"裏アカ"を持っています」と語る。芸能人だけでなく、一般人も裏アカの利用によって法的なトラブルにつながる恐れが指摘された。
●芸能人のSNS裏アカ使用の実態
――SNSの裏アカを使う芸能人はどれだけいるのでしょうか。 私が知っている限り裏アカを持つ芸能人は少なくありません。ただ、裏アカというとネガティブなイメージがありますが、単純に「仕事用アカウント」と「プライベート用アカウント」を2つ以上持っていて、プライベートのものを裏アカと言っているだけの場合もあるかと思います。 例えば、ヘアサロンの経営者が、店の公式アカウントとは別にプライベート用のアカウントを持つのと同じことだと思います。 ――芸能人の裏アカをめぐるトラブルにはどのようなものがありましたか いわゆる「誤爆」の事例が大半です。 プライベート用アカウントで投稿したと思ったら、仕事用のアカウントで投稿していたというケースです。 圧倒的に多いのは、アイドルが異性との交遊関係について投稿してしまうケースです。例えば、実際は彼氏ではなくただの男友達というケースでも、「推し(アイドル)には彼氏(彼女)はいないんだ」と強く思い込んでいるファンは憤慨し、大炎上に繋がるケースもありました。 ――芸能人が裏アカで誰かを誹謗中傷しているケースはありましたか 「誹謗中傷された芸能人が開示請求をしたら投稿者も芸能人だった」というケースについて、私は見聞きしたことがありません。よく経験したのは、芸能人が開示請求したら、その身内や知り合いだったというケースです。 誹謗中傷を受ける可能性の高い芸能人は、自分自身が少なからず嫌な思いをしているので、他の誰かを誹謗中傷しようとはなかか思わないのではないでしょうか。 ――フワちゃん側は「裏アカで投稿していない」と説明しました。「裏アカによる中傷」が判明した場合、芸能人にはどれほどの影響があるのでしょうか 裏アカだろうが表アカだろうが、誹謗中傷は名誉毀損に該当する可能性があり、刑事上も民事上も法的責任が生じるということに変わりありません。 ただ逆に、法的には、身元を明かした本アカで正々堂々と投稿したほうが、論評や意見、さらには演出やギャクだったとして弁解できる余地も残されますが、裏アカだとこういった弁解は厳しいでしょう。 今回、フワ氏サイドは「誤操作」という説明をしているので、本件の投稿については裏アカがあろうがなかろうが関係なく、投稿された表現内容が問題だったのだと思います。 他からコピペでもしてこない限り、言葉はその発する人から生み出されるものであり、投稿者にそういう発想があるからこそ、その言葉が出てくるのだと思います。 今回の本質的なところは誤操作ということではなく、今回の投稿された表現内容がフワ氏から出てきた事実が、ファンを含め世の中にとって衝撃的だったのだと思われます。 なお、憲法19条の保障する思想良心の自由というのは、内心に留まる限り、万人において絶対的な自由だとされています。政治家も芸能人も、内心まで完璧な聖人君子である必要はありませんが、その言葉がどう伝わるのかは、特に慎重になる必要があるかと思います。