筋肉は転がるように減っていく 糖尿病や認知症などの予防にも若いうちからの“貯筋”が大切
図2は筋肉と糖代謝の関係をイメージしたものです。 そもそも筋肉は血液の中を流れている糖と脂質を取り込んでエネルギー源にしています。とくに糖は食事から摂取したうちの70%が筋肉によって消費されていると言われています。 その筋肉が減少してしまうと糖を取り込む量も減ってしまうので、血液中に糖が余ってしまいます。これは脂質でも同様のことが言えます。これにより、血液中の糖や脂質の値が上昇しやすくなり、糖尿病や脂質異常症といった病気につながってしまうわけです。 糖尿病の運動療法においても、ひと昔前は有酸素運動がメインでした。しかし、筋肉の重要性がわかってきた今は、有酸素運動と筋トレの両方を行なうことが推奨されるように変わってきました。 このように筋肉は健康にとても密接に関わっています。ですからボディコンテストやスポーツのためだけでなく、誰もが一生を通じて「筋育」に取り組む必要があると思います。
竹並恵里(たけなみ・えり) 管理栄養士、健康運動指導士。専門は多世代に対応した「筋育栄養学」。プロテインでおなじみ「ザバス」の研究開発やオリンピック選手の栄養サポートに従事した後、筋肉から健康を考えるため、東京大学大学院の博士課程で“筋肉博士”こと石井直方氏(東京大学名誉教授)に師事し博士号を取得。現在は東京大学で特任研究員として勤務しつつ、専門学校などでも栄養学の講師を務めている。著書は「筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典」(ナツメ社)、「進化系!筋肉男子の栄養学」(ベースボール・マガジン社)、「炭水化物の摂り方・選び方パーフェクト事典」(ナツメ社)など多数。
構成/森本雄大 資料提供/竹並恵里