「心臓を替えようぜ」経営のセオリーにない、イーロン・マスクならでは企業改革の発想とは?
■「直接」を好み、「中間」を嫌う イーロンは徹底して現場感を大事にします。「直接」が好きなのです。 だからAppleのティム・クックにも直接会ってしまう。「俺が行ってくるよ」という感覚です。そこはすごく行動力があるなと感心しながらも、イーロンにしかできないことなので、それだと持続性はどうなのだろうかとも思ってしまいます。でも、バランスを考えたり、大人の意見を聞いたりしないところがイーロンの良さでもあるのでしょう。 「直接」が好きな一方で「中間的存在」をすごく嫌います。 Twitter社は、これまで大企業なりのオペレーションをしてきました。 たとえばセールスフォースやタブローを使ったり、いろいろな仕組みで会社の体裁を保ってきたわけです。でも、それに対してもイーロンから「これはダメだ」と言われました。 セールスフォースやタブローみたいなツールは自分たちで作ればいいじゃん、というのが彼の考えです。「なんでこれ使ってるの?」という質問もよくされました。 私たちからすると、セールスフォースやタブローは、使い勝手のいいツールです。オペレーションの最適化を考えたら、こういうツールは必要です。 ただ、彼がダメ出しをしたことで、セールスフォースにかかっていたコストを見直すことになりました。その結果、衝撃的なことがわかったのです。 セールスフォースというツールは、ライセンスを購入する仕組みになっています。イーロンの指示で、そのライセンスの数を確認しました。 すると、社員がたった7500人くらいしかいないのに、ライセンスが4万以上あったのです。つまり、会社を辞めた人の分を解約していなかった。ずっと、積み上げていたのです。ここにめちゃくちゃコストがかかっていました。 私たちからすると「イーロンはハチャメチャなことを言うな」と思うこともあります。でもイーロンは結果的に正しいこともやっているわけです。
笹本 裕