こうのとり8号機ミッション完了 JAXA会見(全文3完)宇宙開発の難しさをあらためて感じた
ここまできた心境を教えてほしい
ニッポン放送:ニッポン放送、畑中と申しますが、今、8号機まで終わったと。9号機で「こうのとり」としては最後ですので、言ってみれば今、セミファイナルということかと思いますが、あらためてこの8号機まで、要はここまできたというこの心境を、植松さんからあらためてお聞かせいただけますか。 植松:8号機、打ち上げる前には今年がちょうど初号機の打ち上げから10年目ということで、10年目と迎えたお気持ちはいかがですか、というようなご質問も受けました。そのときには、初号機を打ち上げたときにはまだ初めて上げる宇宙船で、まさに挑戦者の心持ちだったんですけれども、8号機までやってきて、ようやく仕事人になれたというようなことをコメントさせていただきました。 ただ今回、8号機の実際の運用を迎えてみて、例えば打ち上げ前の火災であるとか、あるいは新しい機器を搭載したことによるいろいろな設定の苦労であるとか、そういったことも経験いたしましたので、あらためて、仕事人になれたと宣言しましたけれども、宇宙開発の難しさをあらためて感じたというような号機になりました。ですので、9号機に向けてはもう1回その手綱を締めて、しっかりとやっていきたいと考えております。 司会:よろしいですか。では、次のご質問ある方。では一番前の方。
回収技術に対する考えを教えてほしい
産経新聞:再び、産経新聞の草下ですけれども、先ほどの別の方の質問の小型回収カプセルですけれども、9号機ではなさらないで、なんらか、別のことをされるという調整だということですが、小型回収カプセルは小型回収カプセルで、やはり日本が当時7号機のあのころに伺ったのは、日本が事実的に物資を回収する手段として非常に重要なものになりうるという位置付けでの実証実験であったと伺っておりますので、これはこれで重要性というのは朽ちるものではないというか、のではないかとお察しするんですけど。 今のところ、小型回収カプセルについては9号機でやらないにせよ、そういう日本の、事実的な回収についての現在の皆さんのお考えというんですか、それから次、何かやるとすればどういうことがテーマになってきてとかっていうこととか、あと、やるとすればじゃあ、直近、HTV-Xの、10は実証的なんでしょうけど、11号機とかでまたやることになる可能性があるかとお察ししますが、その辺のちょっと展望と、今のお考えを聞かせてください。 植松:おっしゃるとおり、この小型回収カプセルで獲得した日本独自の回収技術というのは、これは非常に重要な技術だと考えております。先ほどちょっと申し上げたポストISSっていう、ISSがなくなったあとの世界ですね。その中でも、こういった地球の周りを回る低軌道活動に対する需要というのはあると考えておりまして、それの中で、わが国が独自の回収技術を持つというのは非常にストラテジックにも大事なことだと思っていますので、この技術は継承を維持していきたいと。 これをじゃあ、具体的にどうやって維持・継承していくかということなんですけれども、HTV-Xでの技術実証についても検討しておりますし、あとは全体として、ポストISSの活動をどう描いていくかという中で、この回収技術をどうやって生かしていくかということを、今まさに議論している最中でございますので、具体的な、例えばXの何号機でこういったことをやりますというところまではまだ詰められてないんですけれども、可能性としてはあると考えております。 司会:それでは次のご質問がある方。よろしいですかね。では、ご質問ないようですので、これで本日の宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機再突入の記者会見を終わりたいと思います。本日はお集まりいただきありがとうございました。 (完)【書き起こし】こうのとり8号機ミッション完了 JAXA会見