瀬戸康史が、高橋一生との出会いをきっかけに考えた“理想の俳優像”「個性は逆にないほうがいい」
半径数メートルの人を幸せにできたら
――家族という少し狭い範囲ではいかがですか? 今の瀬戸さんは、ご家族の中でどのように形成されていったのでしょう? 親が共働きだったので、子どもの頃から「親が大変だから手伝いをしなきゃ、お兄ちゃんとして頑張らなきゃ」みたいな気持ちは強かったかもしれません。1個下の妹と一緒に、4個下の妹を保育園に送り届けたりもしていました。精神面で大人になるのは早かったかもしれませんね。 親から叱られた記憶があまりなくて。勉強も含めて、選択を委ねてくれたことも大きかったです。塾に通うのも、部活に入るのも、すべて自由に決めさせてくれました。まあ、もしかしたら僕らが気づかないうちに親にうまく誘導されていたのかもしれないけど(笑)。ありがたい環境だったなと思います。 ――インスタグラムでは、「どうやって生きていくか、幸せに人生を送れるかは自分次第」と発信されていました。瀬戸さんが思う幸せな人生とは? まずは自分が幸福であること。そして身近な人が幸せであることですかね。もちろん世界中の人の幸せを願うけど、自分一人でできることは限られていますから。半径数メートルの人を幸せにできたらと思っています。 ――では、ご自身を幸福にする方法は? 本当は絵とかも描きたいけど、今はそれよりセリフを覚えなきゃいけなくて。稽古場へ向かう車で聞くラジオが唯一の気分転換だったけど、今では車の中でもセリフをずーっと言っています。舞台の稽古中は考えなきゃいけないことも多いし、やっぱり苦しい時期なんですよ。 好んでやっている仕事とはいえ、やっぱり辛いときは辛い。ずっと気持ちよく幸せに過ごしたいけど、今は生みの苦しみに向き合っています。ただ自分が苦しんだ分、その先には必ず「ハッピーなことが待ち受けている」と信じてやっています。それがメンタルを保つ方法かもしれません。 瀬戸康史(せと・こうじ) 1988年5月18日生まれ、福岡県出身。2005年にデビュー。近年の主な出演作はドラマ『ルパンの娘』シリーズ、『私の家政婦ナギサさん』、『院内警察』、『くるり~誰が私と恋をした? ~』、映画『愛なのに』、『違国日記』、舞台『関数ドミノ』、『23階の笑い』、『日本の歴史』、『世界は笑う』、『笑の大学』など。映画『スオミの話をしよう』が9月13日公開。
松山 梢