トリドールHD 南雲克明氏「逆張り戦略×新たな需要創造で過去最高の成果を実現」
2024年のマーケティングおよびメディア業界は、テクノロジーや市場環境の急速な変化を受け、これまでの慣習や枠組みに頼らない柔軟なアプローチが求められるようになった。7月に発表されたChromeにおけるサードパーティCookie廃止の撤回をはじめ、AI活用が実践フェーズに突入したことでデータドリブンな戦略がさらに重要視されるなど、手法が大きな転換期を迎えたことは明らかだ。 こうしたなか、Digiday Japan恒例の年末年始企画「IN/OUT 2025」では、当メディアとゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブにアンケートを実施。2024年をどのように総括し、2025年に向けてどのような挑戦と成長のビジョンを描いているのか、その想いに迫った。 株式会社トリドールホールディングスで、執行役員 CMO 兼 株式会社丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長を務める南雲克明氏の回答は以下のとおりだ。 ◆ ◆ ◆
──2024年のもっとも大きなトピック・成果は何ですか。
丸亀製麺ブランドにおいて、存在意義とブランドらしさを追求した2つの大きなトピックス・成果がありました。 1つめは、逆張り戦略とも言える「人の力で成長する」という意思を持った「麺職人」の全店配置を完了したことです(全国に約1700名)。人の想いと力で消費者の想像を超えるおいしさを提供するという、本質的な体験価値向上によるビジネスの拡大です。 2つめは「丸亀うどーなつ」という新カテゴリーの導入にともなう、唯一無二の新しい体験価値創造と新しい顧客創造によるビジネスの拡大です。 「本質的な体験価値×新たな体験価値」創造の二律両立によって、過去最高の売上・事業利益を更新し続け、外食ビジネスの常識を覆す存在感と成果を両立することができました。
──2025年に向けて見えてきた課題は何ですか。
2024年に入り、成長していく企業と淘汰されていく企業の二極化が顕著になってきました。 具体的には、顧客志向と利益志向のバランスのもと、自分たちの存在意義と武器を深く理解し、それを磨き進化させ、需要を創り、顧客を創造し続ける、「強い意思とオーナーシップ」「戦略」「人材」をつくることの重要性です。 とくに人の課題は、外食・小売業界にとって質・量ともに大きな課題です。いかに内発化された人と組織をつくれるかが、戦略を強く実行でき、持続的な成長につながる鍵と考えています。
──2025年にチャレンジしたいことを教えてください。
商売を持続的に成功させるというマーケティング本来の役割だけでなく、「マーケティング×HR」「マーケティング×サステナビリティ」において、ほかにはできない価値創造とビジネスの成果を出せるようチャレンジしていきたいと考えています。 また、自社の成長と「食」と「日本」の価値向上が両立し、つながるような画と戦略を描き、自社だけでなく企業、業界、国の垣根を越え、多くの人に共感・応援される企業・人になれるよう、研鑽しレベルアップしていきたいと思います。 ・年末年始企画「IN/OUT 2025」の記事一覧
編集部