ジム・キャリー、“一人二役”で完全復活…もギャラは一人分?『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』で魅せた天才的な怪演
長い眠りから目覚めた闇のダークヒーロー“シャドウ”にソニックが仲間たちと立ち向かう『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』(公開中)。北米ではビッグタイトルがひしめきあう年末興行のなかで、見事に週末興収ランキングNo.1スタートを飾った本作で特に話題を集めているのは、シリーズ前2作に続いて悪の天才科学者ドクター・ロボトニックを演じたジム・キャリーによる、奇想天外で摩訶不思議な怪演だ。本稿では引退の噂を一蹴する圧巻の演技を魅せたキャリーが語ったロボトニック役への想いを、彼のこれまでの経歴を振り返りながらお届けしよう。 【写真を見る】マスクにリドリー…ジム・キャリーが演じてきたキャラクターをプレイバック! スタンダップコメディアンとして名を馳せ、1980年代にスクリーンデビューを果たしたキャリーといえば、1990年代のアメリカ映画界に欠かすことのできないコメディスター。豊かな表情のバリエーションや長身で繰りだす柔軟な動きをフルに活かした王道のスラップスティックコメディを得意とし、『マスク』(94)で大ブレイクを果たすと、翌年の『バットマン・フォーエヴァー』(95)では類稀なる個性的なキャラクター性をフル活用してリドラー役を熱演。 また、『トゥルーマン・ショー』(98)や『マン・オン・ザ・ムーン』(99)といったユーモアが必要とされるドラマティックな役柄もこなし、ゴールデン・グローブ賞では主演男優賞(前者ではドラマ部門、後者ではミュージカル・コメディ部門)を2年連続で受賞。その後も有名絵本を実写化した『グリンチ』(00)や、独特な世界観が話題を呼んだラブストーリー『エターナル・サンシャイン』(04)などで世界中を魅了してきた。 2010年代に入ると絵本作家として新たな道を開拓しながらも、肝心の俳優業は低迷気味となり、プライベートでもトラブル続き。そんななか久々の大作映画への出演となったのが「ソニック」シリーズの第1作『ソニック・ザ・ムービー』(20)。ソニックを執拗に追いかけ回す宿敵ドクター・ロボトニックを活き活きと演じ、興行的成功に大きく貢献。コメディスターとして復活ののろしをあげる。第2作『ソニック・ザ・ムービー/ソニック vs ナックルズ』(22)の公開時には引退をほのめかす発言をし、世間を驚かせた。 しかし今回の第3作で、引退宣言などなかったかのように堂々と復活。「ソニックの映画は陽気で創造的な饗宴であり、友情とバカ騒ぎのダンス。私はこの宇宙に、世界中の子どもたちに愛されて私たち全員の心のなかにある子ども心をくすぐることができる、すばらしいフランチャイズを求めていました」と、「ソニック」シリーズへの強い愛情をのぞかせながらカムバックの喜びを語っている。 ただカムバックを果たすだけでなく、本作でキャリーはロボトニックとその祖父ジェラルドを一人二役で演じ、“ジム・キャリーを超えられるのはジム・キャリーだけ”と言わんばかりの神技を披露。「とてもうれしくて興奮し、挑戦するのが待ちきれませんでした。ただ始まるまで、同じ給料で2倍の仕事をこなしていることには気付きませんでしたが(笑)」とジョークを飛ばしつつ、「家族の“闇”という壊れることのない絆で結ばれています」と2人の関係性について言及。 「この家族に共通するものといえば、“放棄”です。ロボトニックは見捨てられ、ジェラルドは見捨てようとした。ロボトニックは孤児院で育ち、毎日毎日いつか自分を愛してくれる人を見つけられる日が来ることを願っていたのです。家族のような存在を。クリスマスは特につらかったでしょう」と、一人二役を演じることでドクター・ロボトニックの秘められた悲しみを見出したことを明かし、先日公式に発表された次作への出演の意欲ものぞかせているのだとか。 『マスク』ではマスクをつけることで型破りな怪人に変身する冴えない男を演じ、『ふたりの男とひとりの女』(01)では解離性同一障害でふたつの正反対な人格を持つ男を熱演。さらに『Disney's クリスマス・キャロル』(09)ではアニメ作品だったとはいえ主人公のスクルージと、彼の前に現れるクリスマスの精霊たちをひとりで演じ切ってしまうなど、一本の映画のなかで複数のキャラクターを演じることに関しては名人級。“一人二役”などまさにお手のものだ。 本作では容姿は似ているが、あまりにもせつなく恐ろしく対極的な存在となるロボトニックとジェラルドを、愛情たっぷりに演じ分け、ドラマティックな部分を底上げしたキャリー。これまで以上に進化した個性的なキャラクターと天才的な演技に注目しながら、2025年の映画初めにソニックとシャドウの壮絶なバトルを大スクリーンで見届けよう! 文/久保田 和馬
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