ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
ザウバーのF1シートを今季限りで失うことになったバルテリ・ボッタスは、今のところ来季の去就が未定となっている。現状、唯一彼が得られる可能性があるのはセルジオ・ペレスの更迭が噂されるレッドブル陣営の1席のみだが、ボッタスはそのチャンスは全くないと考えているようだ。 【ギャラリー】“プロフェッサー”プロストに肩を並べたフェルスタッペン。偉大なる「4度のF1チャンピオン」は史上6人目 ペレスは今年6月にレッドブルとの契約を延長し、少なくとも2026年までチームに在籍することになっているのだが、更迭の噂はその時から止んでいない。ペレスがトップ3フィニッシュを果たしたのは5月のマイアミGPスプリントが最後であり、エミリア・ロマーニャGP以降の最高リザルトは6位。ミスも多く、チームメイトのマックス・フェルスタッペンがマイアミGP後も4勝をマークしていることを考えれば、チームとしては全く満足できない結果だろう。 レッドブルは今季残り2戦の段階でマクラーレンに53ポイント差をつけられてコンストラクターズランキング3番手。ペレスは現在ランキング8番手で、同7番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)にすら56ポイント差をつけられているため、チームのコンストラクターズタイトル防衛失敗についてペレスが負う責任は大きい。 レッドブルはペレスを残すかどうか、最終戦後の会議で決定するとしているが、後任がハッキリと決まっているわけでもない。RBの角田裕毅とリアム・ローソンはまだレッドブルの首脳陣に昇格を確信させるに至っておらず、ウイリアムズからデビューしたフランコ・コラピントに対するチームの関心は、直近2戦で彼が3度の大クラッシュを喫したことから、やや下火になっている。 現状、2025年のF1グリッドで未確定なのは来季角田のチームメイトを務めるドライバーが座るシートの1席のみだが、そのシートは実質的にレッドブルのシートに化ける可能性もあるわけだ。 一方ボッタスは今年、チームメイトの周冠宇を総合的に上回ったが、ザウバーは来季、経験豊富なニコ・ヒュルケンベルグのチームメイトとしてルーキーのガブリエル・ボルトレトを起用。ボッタスはシートを失ってしまった。 ボッタスはレッドブルのシートが得られるとは思っておらず、レッドブルの決断を待つつもりはないという。 「僕のことをあまり好きではない人たちもいると思う。レッドブルのようにね。それが(彼らを待たない)理由でもある」 そうボッタスは語った。 「だから分からないよ。それが選択肢になるとは思えない。それが僕のフィーリングだ」 F1で通算10勝を誇るボッタスは、フェルスタッペンとハミルトンが激しいタイトル争いを繰り広げた2021年、メルセデスのドライバーとしてチームのコンストラクターズタイトル防衛に貢献。レッドブルから見て、今も憎い存在というわけではないだろうが、好印象を持っているとも考えづらい。 ボッタスにとって最も可能性が高い選択肢は、メルセデスへの復帰だ。今回は、リザーブドライバーとしてだが。 メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフとの話し合いについて、ラスベガスGP後にボッタスは次のように語った。 「僕たちは長い時間話し込んだ」 「明日(ラスベガスGP翌日の日曜)か月曜日にまた会うことになるだろう」 「もちろん、すべての選択肢を見たいけれど、ポジティブなことがたくさんある。メルセデス・ファミリーに戻るということは、素晴らしいチームであり、素晴らしいブランドだ。将来に向けてたくさんのチャンスを作ることができる」 「だから僕にとってそれは本当に堅実な選択肢だし、実際彼らに僕を起用する意志があることは本当に感謝している」 35歳の彼はまだレースキャリアに終止符を打つ準備ができておらず、もし来年も現役を続行するのであれば、2026年に新たなチャンスを得られるかどうか考えるかもしれない。 2026年からの新規参戦でF1と基本合意しているキャデラックのプロジェクトに興味があるかと尋ねられ、ボッタスは「ああ、おそらく」と返している。
Benjamin Vinel