■『ジョジョの奇妙な冒険』究極の生命体、カーズ

　最後は荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』（集英社）の第2部に登場したカーズだ。カーズは「柱の男」と呼ばれる種族で、吸血鬼までも捕食してしまう地球上で頂点に君臨する生物である。 　そんなカーズの唯一の弱点が太陽で、本来であれば浴びると肉体が石化してしまうのだが、終盤にはそれすら乗り越えて究極の生命体に進化してしまった。 　こうなってしまったカーズは手がつけられない。身体能力や知能が格段に上がり、不老不死になってしまった。おまけに弱点が一切無く回復もすぐにしてしまうため、攻略法がまるで思いつかない……。 　しかしジョセフは最後まで諦めずに何とかしようと頭をひねり続けた。そうして導き出した策が、火山口にカーズを落とすことだった。 　その後、自身が乗っていた飛行機ごと突っ込んで、カーズをマグマの海に落とすも、相手はそれでもまだ死なない。この時点で心が折れても仕方がないのだが、ジョセフは違った。運を味方にして突き進んでいくのだ。 　エイジャの赤石によるパワーの増幅で誘発された火山の噴火、ジョセフの切り落とされた腕がカーズに突き刺さる……など、事態はカーズの予測の斜め上をいく。こうした偶然の積み重ねによって、カーズは宇宙まで吹き飛ばされてしまうのだ。 　さすがに究極生命体といえど、宇宙空間ではどうすることもできない。最終的には鉱物と生物の中間の生命体となって広大な空間をさまよう羽目になり、カーズは考えるのをやめた……。 　カーズを倒せたのは、ジョセフの諦めない気持ち、軍人であるシュトロハイムの援護、類まれなる強運の3つの要素が重なったからだろう。この結末は、ジョセフだからこそたどりつけたものだといえる。 　圧倒的な強さを持つ敵であっても、仲間とともに協力すれば活路を見出すことができる。最終的に倒せるかどうかは運によるところも大きいのかもしれないが、諦めない心……これが何より大事だと思った。