レッドソックス上原が強調「来季は白紙」
更に、究極の勝負で最高のパフォーマンスを出し続けてきた上原にとって、早々とプレーオフ争いから脱落し、最下位を低迷したチームの中でモチベーションを保つ難しさも否定できなかっただろう。自覚症状が現実のものとなったのは、8月16日からの突然の絶不調。6試合連続で打ち込まれた上原は9月4日に2/3回5被安打5失点という自己ワーストの登板を終えると、自ら首脳陣に「立て直す時間が欲しい」と訴えた。抑えの役割を外れ、1週間の冷却期間を経て、復帰した9月12日から3試合連続無失点に納めてシーズンを終えたのだった。 「スプリットは今年のキャンプから1年間ずっと課題でした。今年はポストシーズンに行くことが(早い段階で)完全になくなってしまいましたから、心を取り戻すことはなかなかできなかったです。ただ、(最近の3試合は)良かったですよ。打たれた時になんで打たれたのかというのも分かりましたし。また、出直してきます」 さて、紆余曲折のあったシーズンとなったが、今オフFAとなる上原に球団の再契約の方針は揺るぎないようである。7月末のトレード期限で引く手あまたの上原を放出しなかった時点で再契約は基本路線だったが、8月の不振の後もチェリントンGMは「それほど心配していない。コージは球団に偉大な貢献を果たしてきた選手であり、彼と再契約を結ぶことへの興味は全く変わりない。まだ、話し合いはしていないが、オフに入って然るべき時に話をしたい」と変わらぬ評価と再契約への意欲を明かした。ただ、多くの米メデイアが一時期、可能性を報じた年俸1500万ドル(約15億円)のクオリファイング・オファーは“凍結”されるのではないかという見方も出ている。 地元紙の「ボストングローブ」は、「球団はクオリファイング・オファーを提示したいとは思わないだろう。彼は下降線を示しているので、過去2年の貢献に見合った金額で繋いでおくことを考える時期に来たのではないか」と提案。「プロビデンスジャーナル」は、「クオリファイング・オファーは見込めないようだが、2016年のオプションを含めるなどして、全体の金額を抑えた条件提示が理にかなったアプローチではないか」と報じた。上原は地元ボストンで今も大人気者だし、球団との関係も極めて良好だ。オフの再契約交渉で両者が着地点を見つけることができるか。 上原は「来季?まだそこまでは考えていない。これから代理人と話し合って、それからですね」と白紙を強調している。