レッドソックス上原が強調「来季は白紙」
消化試合にも関わらず本拠地フェンウェイパークには36590人の観衆が集まった。9月25日。レイズ戦の11-1で迎えた九回、レッドソックスの上原浩治投手(39)が三番手で救援のマウンドに上がった。ただ試合が一方的となった中盤以降は、席を立つファンが目立ち、1年前あれだけ球場を熱狂させた上原の登場曲「サンドストーム」が鳴り響くと一抹の寂しさが漂った。 上原は、1三振を含む三者凡退で1回を無失点に抑えた後、「多分きょうで終わりです。終了です。特別な感情はなかったですね。淡々と終わりました。清々しいですよ。走り切った? まぁ、そうですね。この年でこれだけ投げたら十分でしょう。若いやつと一緒にしてもらったら困ります」と今季最終登板であることをほのめかせた。試合前にはグラウンドでファレル監督と話し合う姿もみられ、すでに出場を回避しているペドロイアやオルティスら主力と同様、今季最終カードの対ヤンキース3連戦を残して、メジャー6年目のシーズンを終了することになったようだ。 昨年神懸かり的な活躍でチームをワールドシリーズ優勝に導いたベテラン右腕に、今年は前年からの疲労を懸念する声があったのは事実だ。実際、開幕直後の4月に上原は右肩痛を訴え、故障者リスト入りこそしなかったが、1週間登板を回避している。復帰後も結果的には抑えてはいるものの、「もう1度やったらどうしようという不安はある」と、なかなか心と体が一致しないもどかしさを語ったこともあった。とはいえ、結果を見れば、5月3日から20試合連続無失点、念願の球宴にも選出され、8月15日の時点で防御率は1・27。快調に思われたが、今から取材メモを読み返すと、「スプリットが全然コントロールできていない」「バッターに振って貰って助かったけど、甘かったですね」「結果的に抑えたけど、全然納得していません」など、自ら「生命線」だという「スプリットフィンガーファーストボール(SFF)」の制球難を認める発言が多かった。 直球と同じフォームから繰り出される上原のSFFは精密機械のような緻密さで左右に投げ分ける高度な技に培われ、大リーグの強打者を翻弄してきたが、その微妙な狂いはシーズン通じて課題となったようだ。ファレル監督は「特に左打者に対してのスプリットのフィニッシュが甘くなっていたようだ。落ち切らず、ストライクゾーンに残って痛打されるケースが何度かあった」と指摘する。