人類にインターネットは早すぎた? 竹田ダニエルとSKY-HIが語り合う、議論の重要性。
違いを認めて対話する場を
竹田:今『群像』で新しく「リアルなインターネット」という連載を始めたんですが、インターネットについて、みんなもっと考えた方が良いと思っていて。アメリカでは今、「サードプレイス」がなくなっているという問題があります。 ライブなども値段が上がって、行きづらくなっている。そもそもサードプレイスは、例えば公園とか、家や会社以外でお金を使わないで過ごせる場所を意味しますが、そういう場所がどんどん減っていて、全部商業化されている。その結果、モノの消費に執着しやすくなるという現象が起きているんです。Stan戦争のようなアーティストへの尋常じゃない執着もそのひとつだと思っていて。 SKY-HI:なるほど。友達とかと、「こうでああで」みたいな話をする回数が、日本にいるときよりもアメリカにいるときの方が多いのは何か原因がある気がしていて。それってどうしてなんだろう、みんなどこでそういう議論をしているんだっけ、みたいな話をしようかなと思ったら、まさかその場所が消失しているっていう。 竹田:そう。だから何かコミュニティを欲しているというのが、最近のアメリカで注目されている話題。同時に大人の孤独も大きな問題になっています。仕事以外での趣味の時間を作れなかったり、ハッスル文化の影響でそもそも「お金を稼ぐ」こと以外で何をしたらいいのかわからなかったり、「仲間」を見つけづらくなっていて、孤独が深まってしまう。コミュニティが存在しなくて誰もが孤立した個人主義社会の方が、資本主義にとっては良いんですよね。 SKY-HI:ネオリベラルはそれだもんね。 竹田:コミュニティを欲しているというところから来る現象はたくさんあるけど、ファンがアーティストに自己投影してしまったり、「推し」の世界に過剰にのめり込んでしまう現象も似たところから来ていると思うんですよね。 SKY-HI:確かにコミュニティは欲しいよね、絶対。 竹田:その思いを搾取することは簡単なわけだけど、日高くんはいろいろと試行錯誤していると近くで見ていて思う。Architectもそうだし。コミュニティっていうものを元来の意味合いで作っているなって。 SKY-HI:そうだね。ヒップホップが好きだから、結局それに尽きるように思う。俺もヒップホップに救われたし、ヒップホップ好きな人たちが集う渋谷の片隅で生まれたコミュニティに属していたから、それがすごく良い原体験になっているんじゃないかと思うし、それと正しく付き合っていきたい気はするかな。 竹田:人と人との対話を重視していることや、会社全体でラジオへの出演を大切にしていること、所属アーティストたちが真摯に語り合う姿勢も全部そういうところから来ているのかな。 SKY-HI:そうだと思う。それこそ、どこかでファンの方に言われたことがあって。「SKY-HI、歌詞に“話をしよう”っていうワードがめっちゃ多い」って。確かに結構大事な曲でこそよく使っちゃうんですが、対話を通して違いを知れるということに対して、大きな喜びがありますね。 竹田:議論できるっていうのは、みんな違うということが当たり前にあって、その違いを理解した上で意見を聞くことが大事だよね。 SKY-HI:そうだね。それに、楽しいとも思う。夢がある気がするけどね。議論することで、人はみんな違うっていうことを実感できると思う。それに違いを知れば知るほど、自分が人と違ったって良いんだっていうことを知ることができるから、結果的に議論自体がどういう方向に転んだとしても、自己肯定に繫がる気がするんだよね。 気になる対談の全容は、竹田ダニエルさん最新刊『SNS時代のカルチャー革命』にてお楽しみください!
竹田 ダニエル、SKY-HI