「あれは魔球」ロッテから現役ドラフト移籍でDeNA日本一に貢献した佐々木千隼の特殊スライダー
【球界ここだけの話】新天地でまばゆい輝きを放った。昨年12月の現役ドラフトでロッテからDeNAに移籍した佐々木千隼投手(30)は今季28試合に登板し、防御率1・95。シーズン中盤以降は重要な局面での起用も増え、チームの26年ぶりの日本一に大きく貢献した。 活躍の大きな鍵を握った球種がある。佐々木の全投球の5割以上を占める独特なスライダー。小杉投手コーチは「あれは魔球。球速が遅く、回転数も少ないのに、40センチくらいの大きな横変化量があり、縦にも落ちない。なので、スイーパーの数値だけど回転数が少なく遅いから、球が来ないし落ちないのに横に曲がる。キャッチボールをしていても初めて見た軌道。誰もいないです」と表現した。 もっとも、ツーシームの握りで投げる佐々木のスライダーは、日野高時代の同級生に学び、そのときから投げ続けているものだという。そのうえで今季について、本人は「元々スライダーは得意な球種。それを深堀りしているというか、いろんなデータを見ながら追求している。ロッテでももちろん数字は見てはいたけど、ベイスターズに来てからより気にするようになった」と明かした。 DeNAが力を入れるデータ解析部門との取り組み。右腕は「小杉さんやアナリストの方々と、こういう数値だったらこういう打球がいく確率が多いとか。試合が終わってからも見直して、もっとこの位置にあったらいいよねとか、意識的に落とさないようにしたりとか、それをちゃんと理解して、自分の中に落とし込めるようになったのが一つの要素かなと思う。手応えは感じている」と振り返った。 ドラフト指名から育ててもらった古巣への感謝と活躍しきれなかった悔しさを胸に千葉を旅立った。横浜で〝魔球〟を磨き、千隼がもう一花咲かせる。(浜浦日向)