日銀「ゼロ金利解除」でマンション価格が“暴落”? プロが明かす「価値が落ちやすい物件」と「落ちにくい物件」
徒歩1分と徒歩10分ではライバルが100倍に!?
金利が上がると、住宅購入者はこれまでよりもさらに予算にシビアになり、購入した物件が将来大きく値下がりし“残債割れ”に陥るリスクに敏感になる。結果として、人気エリアや好条件な物件に人気が集中することが想定されるのだそうだ。 それでは、金利が上がっても評価額が落ちにくい物件の条件とは――? 「下落リスクを避ける上で、一番重要なのは立地です。重要なポイントが2つあり、まず1つ目は“再開発”の予定の有無。例えば不動産価格が極めて高い港区内でも、近接地区に再開発があるかどうかによって価格上昇率が異なると言われています。例えば、六本木は2030年に通称“第2六本木ヒルズ”の建設予定があり、エリア全体のさらなる盛り上がりが予想されています。港区の例は極端かも知れませんが、新たに“地域ナンバー1”と呼ばれるような物件ができる場所は、その物件がけん引役となって、近隣エリア全体の物件価格を底上げする傾向にあります」(塩澤氏) 沿線で言えば、例えば大井町、品川、高輪ゲートウェイ、王子でそれぞれ大規模な再開発を控える「京浜東北線」の沿線は狙い目と言えるそうだ。 「もう1つ、分かりやすいポイントは“駅チカ”であることです。駅を中心に円を描いてイメージいただくと分かりやすいですが、例えば徒歩1分と徒歩5分では円の面積が25倍に。徒歩10分と比較すれば100倍になりますから、それだけ中古市場でライバルが増えることになります。物件を購入する場合、駅からの距離は1分単位で比較した方がいいです」(塩澤氏)
都心に回帰する流れが加速していく
それでは逆に、評価額が落ちやすい物件の特徴とは? 「今後、日本では急激な人口減少が起きると予想されています。人口が増えている時代には、過密を避けて郊外に移り住む流れが起きましたが、人口が減少していくと、今度は利便性の高い都心に回帰する流れが加速していきます。そうすると、郊外の物件や駅から遠い物件は敬遠され、相対的に評価額が落ちやすくなります。ただ、郊外でもそのエリアのランドマーク的な物件など、他との差別化がはっきりしている物件は価値が落ちにくい」(塩澤氏) 金利の上昇や人口減少による下落リスクを回避するには、「成熟した街よりは再開発の期待が持てる街」、「郊外よりは都心」、そして「なるべく駅チカ」であることがカギになりそうだ。 「そうすると、必然的に物件価格は高くなってしまうわけですが、中古物件であれば予算内でそうした条件をおさえた物件を見つけられる場合も。周辺の相場が上昇傾向にあるかは、賃貸の家賃相場の変遷を調べる方法もあります。今は個人でも再開発や周辺相場の情報をある程度リサーチすることは可能です。株だとインサイダー取引になってしまいますが、物件選びで耳に入れてはいけない情報はありません」(塩澤氏) *** これまでは今後予想される金利の上昇が住宅価格に与える影響について解説してきた。 これから先、金利が上がるのであれば、せめてなるべく好条件で貸してくれる銀行を選びたいところ。しかし、最近はネット銀行を中心に貸し出し条件の「自己資金比率」を引き上げる動きが続いているという。 後編ではそうしたトレンドが生まれた背景について解説していく。 デイリー新潮編集部
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