夏の甲子園、早稲田実業は「斎藤佑樹」以来のフィーバーを起こせるか? OBは「今年は慶応でなく、早稲田の番だ」と意気込む
18年ぶりの「早実フィーバー」なるか
問題は、捕手の配球と守備だ。西東京大会では、リズムが単調になって、相手に痛打を浴びるシーンが非常に目立った。エースの中村は、投げ急ぐ傾向が強く、その結果、カウントを悪くして、ボールが甘くなるシーンが見られた。甲子園では、試合時間を短くしようと審判や運営からの指導が多くなる。それに影響されることなく、上手くリズムを変えながら、投げることがカギになるだろう。 西東京大会では6試合で8失策、そのうち5個がバッテリーによるものだった。言うまでもないが、バッテリーの失策は、試合の流れを大きく左右する。甲子園では改善が求められる。 初戦の対戦相手は鳴門渦潮(徳島)で、早実が西東京大会で倒してきた強豪校に比べて、得点力が高いとはいえない。また、同じゾーンに入った他のチームを見ても、どちらかというと「守りのチーム」が多い印象を受ける、早稲田実に守りのミスが少なければ、大量失点の可能性は低いだろう。 鳴門渦潮戦が予定される8月11日は日曜日。甲子園のスタンドには、大応援団が駆けつける予定だ。これは、早稲田実にとっては、大きな追い風だ。振り返れば、斎藤佑樹(元日本ハム)を擁して優勝した2006年は勝ち進むごとに、どんどん勢いに乗っていった。初戦で弾みをつければ、18年ぶりの「早実フィーバー」が期待できそうだ。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部
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