<追跡>「ユニクロ」VS「SHEIN」裁判の行方 職人は型紙が同じ可能性を指摘【WBS】
「ショルダーベルトのつけ方にもいろんな方法があるが、ここから1本出ていて、角カンというが、ここを通しているつくりとか、職人から見てもユニクロを見て作っているという印象を受ける」(どちらも「仙入」の仙入雅之取締役) プロの目から見ても似ているという判断でした。 さらに別のSHEINのバッグでは「このユニクロのポケットも作りが全く一緒。ポケット1個に対してステッチがあって、2つスペースがある。(SHEINも)同じくポケットに対してステッチが入って、2つスペースがある。全く同じ作りになっている」(仙入取締役) 中の作りもほぼ同じ。ここで職人が感じたのは、ユニクロのバッグをもとに型紙を作ったのではないかという疑問です。 型紙とはバッグなどを作る際の設計図のようなもの。新しい商品を作る際は10回ほど作り直す必要があるという重要なものです。
確認するためにパーツごとに分解してみると「バッグの状態よりもどれだけ一緒なのかわかりやすい。見てもらったらわかると思うが、カーブの形がほぼ同じ。バッグでここまで同じなのはなかなかない。ユニクロのバッグを購入して解体して、その形をとって、型紙に落として作っている可能性もあると思うほど酷似している」(仙入雅之取締役)。
裁判の行方は?
ただ、ファッション業界ではトレンドとなったデザインを他社も追うことはよくあることにも思えます。 街の人にSHEINのイメージを聞くと「安い」「他の店の商品とちょっと似ている時がある」「安くてトレンドなものという感じ。(他社と似たデザインも)海外サイトならよくあることなのかな」と返ってきました。 裁判の行方はどうなるのでしょうか。元ファッション雑誌の編集者で、知的財産を巡る裁判に詳しい「三村小松法律事務所」の海老澤美幸弁護士によれば「ユニクロのバッグがどれだけ有名か、ユニクロの商品として認識されているか。もう一つがこの形がありふれているか。市場に似た商品がたくさんあるか、というのも一つのポイント」といいます。 ただユニクロが勝訴することは、容易ではないといいます。 「ただ非常にシンプルなデザインなので、似たバッグがたくさんあることをSHEIN側が主張して、証拠も出すことができれば、ありふれたデザインと判断される可能性もないわけではない」(海老澤弁護士) それでもこうした訴えを起こすことには意義があるといいます。 「特にSHEINがいろいろ模倣の事例があって、様々なブランドが泣き寝入りしている事情がある中で、企業が立ち向かって戦う姿勢を見せるのは業界にとっても大きな意味がある」(海老澤弁護士) テレビ東京の取材に対しSHEINは25日「SHEINは他社の知的財産権を尊重し、全ての申し立てを真摯に受け止める。現在この件について調査中」とコメントしました。 SHEINはアメリカでもラルフローレンやオークリー、クロムハーツなどから同様の訴えを起こされていて、裁判が続いています。デザインだけではなくて、ロゴマークを模倣されたと訴えるケースもあるということです。 ※ワールドビジネスサテライト