豪雨対策、着実に実行 21世紀県民会議
山形新聞、山形放送が提唱する「21世紀山形県民会議」が14日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで開かれ、「頻発する豪雨災害 県民に迫る危機への備え」をテーマに、吉村美栄子知事や矢口明子酒田市長、加藤文明戸沢村長、県選出国会議員、各界代表が一堂に会して意見を交わした。出席者は気象変動に伴う大雨災害リスクの増大を踏まえ、雨の多い西日本と同等の治水対策や防災意識の向上、避難所の環境改善などハード・ソフト両面から取り組む重要性を共有した。 提唱者を代表して寒河江浩二山形新聞会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)があいさつし、2020年7月、22年8月、24年7月と3度本県を襲った大雨災害に触れ、「大規模水害への対策から住民の避難行動の在り方、地域における防災・減災体制の構築まで、県民の命と暮らしを守るための方策を多角的に議論する必要がある」と述べた。 佐藤秀之山形新聞社長がテーマを提起し、13人の出席者が意見を交わした。「豪雨災害の実態と緊急的な対応」として、最上川と支流を含めた河道掘削・支障木伐採による流下能力アップや河川整備計画の計画降水量の見直し、迅速な復興支援と経済活動の復旧に向けた財政支援を求める声が上がった。
「気象変動時代における持続可能な地域づくり」の話題では、地球温暖化対策や田んぼダムを含めた流域治水の促進、防災リーダーの育成、学校を防災教育・避難所の双方の視点で活用する案が出された。 公共交通機関である鉄道に関し、災害からの復旧支援で国がリーダーシップを発揮すべきだとの意見もあった。 7月の大雨で被災した戸沢村蔵岡地区の集団移転を進める加藤村長は、ハード面の対策には限界があるとし、「安全な場所に移ることも重要」と語った。 アドバイザーで最上川水系流域委員会委員長の風間聡東北大大学院工学研究科教授は、最上川の景観を良くしながら防災力も上げる一石二鳥の政策に期待したほか、「継続的に防災や洪水を考える社会になってほしい」と語った。 オブザーバーとして出席した西村拓国土交通省東北地方整備局長は、11月に策定した最上川下流・中流緊急治水対策プロジェクトを着実に実施するとした上で「早期復旧・復興までを見据えた事前防災や強靱化(きょうじんか)対策が今まで以上に重要になる」との認識を示した。
豊かな郷土づくりを目指し、直面する課題について議論を深め、県勢発展につなげる県民会議は50回目。会議の模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」の本紙チャンネル「山形新聞オンライン」でライブ配信した。