キノコ狩りで「遭難」する人が減らない納得の理由 「家族にもどこの山に入るか教えない“名人”もいる」
スマホが普及してリスクは減ったが……
筆者が子どもの頃はキノコ狩り名人が近所にたくさんいた。朝市にはマツタケなどの高級なキノコがずらりと並び、買い求める人々が行き交い、紙幣が飛び交っていた記憶がある。キノコに対してムキになる大人が多かった印象を受けるが、地元に住んでいる人に話を聞くと、キノコ狩り人口こそ減ったものの、彼らの性格は今も変わらないらしい。 キノコ狩りを取り巻く事情も様変わりしつつある。マツタケなどは人の手が入った、ある程度管理された山に生える傾向がある。しかし、最近は山を管理する人が高齢化し、山が管理されなくなって荒れ果ててしまい、収穫量が減った地域もあるという。そのため、数少ない発生地を巡り、キノコ狩り名人同士で熾烈な戦いを展開しているケースがあると聞く。 スマートフォンが普及し、山の中でも電波が届くことが増えたため、かつてよりは遭難のリスクは少なくなったといわれる。しかし、万が一遭難した場合、家族に心配をかけることになるだろうし、近所の人にも迷惑をかける可能性が高い。せめて、家族には行き先を事前に伝えるようにして、安全なキノコ採りライフを送ってほしいものである。 ライター・山内貴範 デイリー新潮編集部
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