明大が練習納め 楽天1位の“宗山イズム”を継承 「奪冠」スローガンに掲げ来年は大学4冠へ
朝5時30分。まだ真っ暗な東京・府中市の明大グラウンド。選手の吐く息が真っ白になる寒さの中、練習が始まった。最後は恒例のポール間30本走。少しずつ夜が明ける中、選手の声が響いた。「ヨッシャー」。朝7時、全員が遅れることなく完走し、笑顔で24年の練習を締めくくった。 今春のリーグ戦は2位、秋は優勝決定戦に持ち込んだが、惜しくも早大に破れまたも2位。あと1歩で優勝を逃した。新チームはスローガンに「奪冠」と掲げスタート。主将に就任した木本圭一内野手(3年=桐蔭学園)は「自分たちが、1、2年生の時に、先輩方にリーグ戦優勝と日本一の景色を見させていただきました。今度は、自分たちが次の世代に残したい。そんな気持ちを込めました」。 昨年は青学大が史上5校目となる大学4冠を達成。次は自分たちが6大学初の4冠をとる。その思いを「冠」に込めた。新チームから寮の掃除から徹底。「今まで以上に厳しく。しっかりとした生活をしていれば結果もしっかりついてくる。スキのないチーム。負けないチームを作りたいと思います」と、話した。 宗山イズムも引き継いだ。木本は前主将の楽天1位の宗山から「自分の結果もチームの結果も全て気にしなきゃいけなくなる立場で大変だと思うけど頑張れ」と、声をかけられた。2年春からセカンドのレギュラーを獲得してから二遊間コンビを組んできた。「宗山さんができなかったリーグ優勝をしっかり自分たちが取り返せるようにやっていきたい」。大きな先輩の背中を追いかける。 来年のドラフト候補で今年の大学日本代表でも正捕手を務めた小島大河捕手(3年=東海大相模)は、宗山から間の取り方を教わった。「ピッチャーが投げ急いでたらけん制を入れてあげろ、とか。自分の返球のスピードをかえて、ちょっと流れを変えるのはどうだ?と」。2年春優勝後の秋、なかなか勝てずに悩んでいた小島にヒントをくれた。来年はドラフト候補として期待も大きいが「他の方が評価してくださること。自分やれること。目の前のことを一生懸命やっていきたい」と、足元を見つめた。 4季ぶり優勝はもちろん、4冠へ。宗山イズムを引き継ぐ選手たちが、力強く来年へ向かう。【保坂淑子】