【陸上】サニブラウンが渡米「今季の経験を次につなげるのが大事」精力的なオフに込めた陸上競技への思い
男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が拠点とする米国へ戻る前に報道陣の取材に応じた。 サニブラウンが都内の中学校をサプライズ訪問!練習見学後に質問に応え「今後に生きてくれれば」 2024年シーズンはパリ五輪に出場し、100mでは準決勝にとどまったものの9秒96と5年ぶりに自己記録を更新した。4×100mリレーでも5位入賞。ダイヤモンドリーグ・ファイナルにも初めて進んだ。 「比較的、悪くないシーズンでした。一応、ベストも更新したので及第点」と振り返りつつ、「悔しい気持ちが一番。求めるものはもっと高いので点数にすると40、50くらい」と語る。 オフはこれまでになく積極的だった。母校訪問はもちろん、バラエティー番組や情報番組などにもテレビ出演。さらに、自ら手がけた中高生向けの競技会「DAWN GAMES」も初めて開催にこぎつけた。 そこには、来年に控える東京世界選手権、そして陸上競技への思いがある。 「東京世界陸上のアンバサダーに選んでいただいて、いつもとは違う濃いオフ。陸上を好きになってもらうのはもちろん、スポーツが楽しい、身体を動かすのが好き、と感じてもらいたい」 ファンや子どもたちとも触れ合い、「普段はなかなかない機会。いつも見てくれている人とつながることで、深い関係になったり、ストーリー性が生まれる。喜んでもらえて、自分が元気をもらいました」。 盟友の橋岡優輝(富士通)や北口榛花(JAL)らとも食事の場で、「どうやって盛り上げていくか」と話題に。さらには「東京世界陸上で終わらず、その先、陸上競技をどうしていくか。サッカーや野球のように地域で応援できるスポーツにしていかないといけない」と思いを巡らせている。 世界選手権を盛り上げるため、「海外にいる間はSNSなどを使いたい。もちろん、競技で結果を出すのが一番。メディアのみなさんも一緒に盛り上げていければ」と語る。 すでに米国では、所属するタンブルウィードTCで冬季トレーニングがスタートしている。書類の関係で少し遅れての合流となるようで、強化プランなどは「これから結果を分析して、感覚とすり合わせて決めていきたい」とした。 長く信頼関係を築いてきたレイナ・レイダー・コーチとは「家に遊びに行くくらい深い」といい、競技面でもイメージは共有できている。「競技に対する理解度も上がってきています。ビジョンを描いて逆算して組み立ててくれるので、コーチの想定以上をどうできるかを考えています」。 世界選手権には23年のブダペストまで5大会で代表入り。来年3月で26歳になる。「世界リレーでは最年長になってびっくり」と笑い、「これまで先輩たから学んで人としても成長できました。これからは若い選手たちにどう伝えていけるかが大事」と頼もしい。 ロサンゼルス五輪に向けて、スプリンターとして充実期を迎える年代となり、「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない。30歳手前でいい年齢になるここからどう作っていき、結果を出すか」。 もちろん、東京世界選手権でも、これまで通り「やるからには世界一」が目標。「成功と失敗を経てどう学べるかが大事。今シーズンの経験を次につなげて生かしていきたい」と力を込めた。
月陸編集部