ゴーン被告弁護団の弘中氏らが会見(全文1)今回の逮捕・起訴は極めて不正
金商法違反の事件は明らかに無罪
それから、本件は司法取引が日本で本格的に使われた初めての事件だとされていますが、本来の司法取引の目的とは違って、今回は日産の2名の社員に対して、日産のほうから命令をして、司法取引に応じるようにさせました。それから、検察はゴーンさんの評判を低下させるために、逮捕直後からさまざまな情報をメディアにリークして、ゴーンさんに不利な、間違った記事を書かせました。そういったことで、われわれは公訴棄却の申し立てを2つの事件、両方についてしております。 なお、それぞれの公訴事実についてもゴーンさんは無罪です。最初に逮捕されたのは金商法違反の事件でありますけれども、ゴーンさんに未払いの役員報酬というものはありません。契約書であるとか、議事録であるとか、その他、公式の記録にそういった未払い報酬は一切、記載されていません。会社の中でもゴーンさんに対して、払わなくてはいけない未払い報酬があるということ、いうふうに思っていた人はいませんでした。実際、その未払い報酬なるものは1円も払われてませんし、一切、請求されたこともありませんでした。従って、金商法違反の事件については、実際の報酬と報告書に記載された報酬とは一致してますので明らかに無罪です。
会社法違反の事件も無罪
次に、新生銀行の関係の会社法違反の事件。これはゴーンさんがやっていたスワップ契約について、一時的にその取引の当事者を会社、日産に付け替えたということが特別背任とされてる事件です。しかし、これについてもその契約の内容を調べてみると、会社が損害を被る可能性はまったくありませんでした。現実に、日産はなんの損害も被っていません。従って、これについてもゴーンさんは明らかに無罪です。 それからジュファリさんに対する日産からの支払いが特別背任、会社法違反とされてる事件です。これについても、日産の支払いは、日産の事業のために必要なものを払っただけでありますし、その手続きも全て、きちんと行われていました。しかもジュファリさんに送られた費用の大部分は、ジュファリさんが日産のために立て替えた費用を精算したものでした。従って、これについても日産はなんの損害も被っておらず無罪です。 最後にオマーンのSBAに対する支払いです。SBAは日産にとって非常に重要な、大きな代理店でした。このSBAに対する支払いは、全て日産の事業のために必要なものを送っただけですし、手続きも全て取られていました。なお、検察はさっき言ったマスコミリークを利用して、SBAに払った費用の相当額がゴーンさん、もしくはゴーンさんの家族に還流されているということを、そういうことをリークしました。しかし証拠上、そのような事実はまったくないことが分かりました。 最後に3点ほど申し上げたいと思います。1つは、検察は、ゴーンさんが日産において独裁者だったと、大変強い権力を持っていたので不正が可能であったということを言っております。しかしゴーンさんは、実際には役員、従業員の言ってることに耳を傾けて、それを前提にして活動したからこそ、あの歴史的な、奇跡的な日産の業績回復ができたので、独裁者だったらそのようなことをできたはずがありません。ゴーンさんのその辺りの仕事ぶりについては、これまでにも国内・国外で多数の研究がなされていまして、その内容は決してゴーンさんが独裁者などではなかったことを明らかにしています。