函館・大泉市長の政治資金パーティー券販売 「市として調査しない」
北海道函館市の大泉潤市長の政治資金パーティー券を大泉氏の後援会の会計責任者と元副市長が市役所内で市職員に販売していた問題で、大泉氏は10日の市議会一般質問で、市としてパーティー券販売の全容解明に向けた調査は行わない考えを示した。自民党系会派の新市政クラブの中山治議員の質問に答えた。 これまでに大泉氏側の調査で、10月12日に函館市内のホテルで約900人が参加した政治資金パーティーの「市政報告会」に、市幹部ら約70人が参加したことが明らかになっている。 この日の答弁で大泉氏は、7~8日に改めて医療職を除く全部長職に直接聞き取りをした結果として「各部への割り当てといった組織的な申し合わせはなく、違法性はないものと認識している」と述べた。その上で後援会として市職員へのパーティー券販売を取りやめたことなどから、「今後こうした事案は生じないことから、(市として)調査を行う必要はない」とした。 中山氏は、政治資金規正法が禁じる公務員の地位利用による販売があったかどうかを市として解明する必要性を指摘した。これに対し大泉氏は行政機関が犯罪捜査にあたるような調査をするべきではないとした上で、内部通報制度があることも踏まえて現時点では調査しない考えを繰り返した。 また、大泉氏は市職員が勤務時間中にパーティー券を購入したことについて、地方公務員の職務専念義務に反する疑いがあるとして「不適切だった」と認めた。さらに、「現職市長の圧力で(パーティーに)出席をしなければならない雰囲気ができていたのではないかと誤解を招く結果となったこと、私自身が事前に把握し、このような事態を起こさないよう配慮することができなかったことが問題だったと反省している」「政治的道義的責任について改めて自覚をし、取り組んでまいりたい」とも述べた。 公務員がパーティー券を購入すること自体は禁じられていないが、政治資金規正法は一般職の公務員が地位を利用して券の販売に関与したり、第三者が一般職の公務員に販売への関与を求めたりすることを禁じている。(野田一郎)
朝日新聞社