初土俵から通算１６３１回連続出場となり、花束を手に笑顔を見せる玉鷲＝９月１０日

　「文句、言っておいてください」―。大相撲秋場所で初土俵からの連続出場記録１位となり、１６４３回まで伸ばした関取最年長の幕内玉鷲（３９）＝片男波＝から、大記録目前の同場所初日の朝に飛んできた一言だった。取組後の支度部屋と同様、穏やかな表情だったが、負けず嫌いが顔をのぞかせていた。 　話題は、８月にフジテレビ系で放送された「大相撲部屋対抗！　大食い＆歌うまバトル」。一門対抗形式の大食いパートに出演した玉鷲は、白米やちゃんこ鍋などを１時間で約６．７キロと食べに食べた。胃袋でも鉄人ぶりを見せつけ、個人トップに輝いた。しかし、オンエアで記録は紹介されず。ゲストの芸能人と共演経験のあった別の力士が目立つ形だった。 　「食べる前のインタビューで『二所ノ関一門として頑張る』って言ったから、意地はあったのかな。守らない約束は語るものじゃないから」。勝負事は何でも真剣。それだけじゃない。年齢に流されない元気な自分を見てもらいたかった。だから、残念がった。 　モンゴルから来日して入門した当初、ご飯にリンゴをのせてマヨネーズをかけるなどしていたという。今は「米の匂いで、米を食べられます」と日本食へのなじみっぷりを笑顔で語る。「九州の米はもっとおいしい。朝倉の山の水で作った米。九州場所では絶対、太るんですよね」。部屋が宿舎を構える福岡県朝倉市の親善大使として、ＰＲも忘れない。 　九州場所７日目の１１月１６日に４０歳となる玉鷲。年齢を重ねても「力と力の勝負。お客さんに喜んでもらうのが一番」という思いはぶれない。しっかり食べて、土俵では愚直な突き押し。誰よりも元気に、不惑を体現してほしい。（大相撲担当・志村拓）